強くてニューゲームしたらパッシブスキルのせいで詰んだんじゃが?

本日の課題:【ロリババア】をテーマにした小説を1時間で完成させる。


_ _ _


マズいことになった。

そう気づいたのは7歳の頃じゃった。

いや、というほうが因果関係としては正しいのかもしれん。


わしの名前はネルトリート。

不老不死なる大魔女…じゃった。


じゃったと過去形になるのは今ではワシはもう不死ではないからである。

生前は母なるキュトスの名のもとにぶいぶい言わせていたのじゃが。

あるとき邪悪なる覇王、メクセト坊主をからかっておったところで、ついうっかりと彼奴きゃつの逆鱗に触れたワシは『絶対停止』の権能を持つ氷結の三叉槍コルセスカでぐっさりと刺されてしまった。


いやあ、マジでビビった。

死ぬかと思ったというのはああいう心地を言うのであろうな。

実際にはそのままでは死ぬことはなかったんじゃが。

死ぬことがないのが問題じゃった。


まあ、古来より不死者対策として真っ先に挙げられるように、「封印」という手段は実際にされるとかなり痛いんじゃよな。

事実上、死ぬよりもひどいということになろう。


じゃからワシは思い切って刺される瞬間に自身の持つ不死の魔術を解除した。

氷結の三叉槍コルセスカが権能を発揮するよりも早く槍の刺突で絶命することにした。同時に使うことはないと思っていた転生プログラムを起動して…


そしてワシは転生した。

今世での名前はプルエルキュアという。

転生後の肉体がそれなりに成長して物心がつくころに、自身が不老不死なる大魔女の転生者だと気づき、その瞬間から自身の権能を取り戻す。


そういう予定プランだったのじゃが…


誤算が2つあった。

1つ目、ワシはもう不死ではなくなっていた。

まあ、氷結の三叉槍コルセスカに刺される直前に不死性は捨てたからのう。

ある意味では当然の帰結じゃった。

咄嗟の事じゃったからこれはまあ、よいじゃろう。


2つ目、ワシは不老のままじゃった。

不老と不死は異なるがゆえに不死の権能を失っても不老の権能は失われなかった。

問題はこの不老、解くことができないのである。

解呪ディッチャを一発撃たれただけで老衰で死んだり、瞬間的にコントロールを奪われて持続放棄されて老衰で死んだり、うっかり他の呪文のスイッチを切るときに間違えて切ったりして老衰で死んだりしないように、

徹底的に保護プロテクトをかけた永続型パッシブスキルとしての不死。


その権能をワシ、いやプルエルキュアたる「私」は思い出してしまった。

即座に自分でも解除不能な不老バフ(デバフ扱い)が効果を発揮した。


ワシの体は幼女のまま不老を獲得してしまった。


魔法少女プルエルキュアがあらゆる呪術を解体する解呪ディッチャの達人になるのは未来の話。今はまだ。



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