第11話 クリスマス

 そんなあたしに、また元気をくれたのは、イエンでした。今回は、あたしの方から声をかけ、「聞いてほしいことがあるの」と、彼に相談をしたのでした。そして、またあたしは、心の内を彼に話しました。彼は、ずっと親身に聞いてくれていました。あたしは、嬉しくて、そして、またそうやって彼を一瞬の間でも、独り占め出来ていたことが嬉しくて……。

 庭の花を見ると、またしおれていたあの花は、ちゃんと元気を取り戻していて、日光に照らされながら、すくすくと育っていました。

 クリスマスが近づいていました。カップルが、その日の予定を話し合ったり、人々がどこへ遊びに行こうかと楽しそうに話し合っている中で、あたしは一人、自分がクリスマスに欲しいもののことを考えていました。


 「あたしは、イエンが欲しい……。」


 初めてでした、ある一人の人―友達をクリスマスのプレゼントとして欲しいと願うなんて。そして、あたしはのでした。彼をもらうことなんて出来ないのは分かっていました。ですが、彼という友達さえいれば、あたしはやっていける気がしたのでした。


「彼と話していれば、悲しいこと、辛いことなんて考えなくていい、また落ち込んでしまったとしても、彼が話を聞いて解決してくれる、彼さえ、イエンさえ居れば、あたしは……っ!」


 あたしは、それ以降もずっとイエンのことを考えながら家へと帰ったのでした。

 庭の花を見ると、雪をかぶり、埋もれそうになっているあの花がありました。あたしは、ただただ、「この冬を乗り越えて、お願いだから、あの雪に負けないで」と、願うばかりでした。

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