第10話 ジョールル

 嫉妬で狂いそうなあたしだったのですが、実は、あたしはイエンのことは好きではありませんでした。いえ、厳密に言うと、彼に恋愛感情は抱いていないだけで、彼のことは友達として大好きでした。あたしには彼ではない、他に恋愛感情として好きな人がいました。

 彼の名前は、ジョールルくんでした。元々、イエンの友達で、彼とは今年から同じクラスになったのでした。ジョールルくんは、あたしのことを「メロ奈ちゃん」と呼びました。あたしは、それまでちゃんづけで呼ばれたことがなかったので、とても新鮮でした。

 ジョールルくんと知り合ってからの毎日、彼に対するあたしの恋心はどんどん加速していきました。彼はとても多才で、あたしからは「天才」に見えたほどでした。あたしは絵を描くのが好きで、彼が絵を描くことにも長けていると知った際には、彼を尊敬するまでになっていたのですが……。

 あたしは、そこからまた自信を失うようになりました。あたしは、自分をジョールルくんと比べるようになってしまいました。そのせいで、劣等感を感じて、毎日、自信を失うようになってしまいました。

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