第9話 イライラして、ソワソワして
二人の楽しそうに話している姿を見ると、あたしはとてつもなくイライラして、そして、同時に寂しく思いました。なぜなら、イエンがあたしに話しかけてくれる頻度が減ってしまったことを、改めて感じるからでした。彼との以前の会話の頻度を10とするならば、今はたったの5でした。いえ、4、あるいは3くらいまで減ってしまったと思います。あたしの方も、イエンに話しかけづらくなってしまい、あたしだけに見せてくれたあの笑顔も、Rに見せてしまっているのだと思うと、あたしは嫉妬で狂いそうでした。最初は気にならなかった、Rの派手な持ち物もだんだんと見るのが嫌になっていきました。あたしは、派手なものは好まず、おとなしめの色のものが好きでした。ですが、自分がそうなだけで、他人が派手なものを持っていようと気にはならなかったのです。ですが、Rのその派手なものだけは許せませんでした。それを見てしまうと、目が落ち着かなくて、あたしの心はソワソワしました。魔法を信じないあたしですが、そのときだけは、「彼を見えない鎖か何かで繋ぎ止めておけたらな」と考えたのでした。
気が付けば、あたしはいつもRのことを考えていました。音楽を聴くのが好きなあたしなのに、あたしは流れてくる音楽に全く集中できていませんでした。イエンのことを考えることは多かったのですが、あたしはそれを超えてRのことを考えてしまっていたのです。考えたくないのに、今すぐ、あたしの頭の中からRを追い出したいのに、あたしはなかなか、自分の中からRをかき消すことが出来なくて、「もう嫌だあぁぁっ!!」と叫びたい衝動に駆られたのでした。
そのうち、人々は、Rとイエンが「お似合い」であると言い始めました。一度、聞いたことがあるので、イエンがRのことを好きではないことは明確なことでしたし、彼がRと仲良くするのは優しさからですが、二人が本当に付き合っていると勘違いしている人々もいて、それがあたしを、さらに嫉妬させる要因となったのでした。
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