第5話 ウィークミー

「やあ、メロ奈」

「……ウィークミー」

「あれぇ? アタシに会えて嬉しくないの?」

「……」

「あっそ、まあ別にいいケド。アタシはアンタに会えて嬉しいけどネ!」

「あ、あたしは……嬉しくない!! あたしはあんたに会えて嬉しくない!! あたしはあんたに消えて欲しいの!!」

「はいはいはいはい、分かったから。分かったから、アンタのウルサイ口、早く閉じてくれる?」

「……っ!」

「なーにぃ? 怒ってるのぉ? カワイイー!!」

「……っ」

「もーう、だまっちゃってツマンナーイ」

「……」

「楽しみに待っててヨ、もうすぐアンタを手に入れるカラ。そして、アンタになるからサ」

「っ!!」

「大好きダヨ、メロ奈」

「ちょ、ちょっと、待ってっ!!!」

「……」

「いなくなった……」

「バアッ!!」

「ひゃあっ!!!」

「アハハハハ、油断しちゃダメダヨ」

「びっくりしたぁ……急に後ろから驚かすなんて……」


 ウィークミーは、突然、あたしの前に現れました。ウィークミーは、弱い自分のことで、ネガティブな言葉を巧みに使って、本当のあたしをいつも陥れようとしてきました。他人には見えていないので、きっとあたしが、自分の中の弱いあたしを現物としていつの間にか生んでしまったのだと思います。あたしは、ときどき出てくるウィークミーにまで、悩まされるようになりました。

 庭にある花を見てみると、しおれたあの花のとなりに、真っ黒な花が咲いていました。一瞬、あたしは誰かが違う花を植えたのだと思いました。ですが、よく見てみると、その花はしおれた花と全く同じ種類だったのです。あたしは、不思議の感に打たれて、しばらく考えていましたが、答えは出なく、謎に包まれたままでした。








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