第4話 一人
そして、あたしは、一人で帰るようになりました。昔から、たくさんの人々の中にいることが苦手だったのですが、あたしは、それ以上に少人数でも、誰かが近くにいることが怖くて嫌になってしまいました。
駅のホームで、あたしは、必死に奥の方まで歩きました。途中、電光掲示板の数字と、床に書かれている数字とを交互に見て、「まだ、大丈夫、まだ、大丈夫」と自分に言い聞かせて、電車の止まるギリギリの位置に行きたい欲と、それを超えてしまった際に感じる羞恥心を防ぎたい欲とで戦っていました。
彼女たちが来ても、気付かないふりをしてやり過ごしていました。彼女たちは、とても不規則で、あたしに声をかけるときと、かけない時がありました。あたしは、またそこで、その不規則な対応から、彼女たちとの関係は薄っぺらいものだと改めて思いました。
「イエン、来ないかな」と、自転車通学の彼の、おきないに等しい奇跡を信じることもしばしばでした。
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