第3話 複雑な過程

 高校は、あたしをたくさん泣かせました。あたしは、高校生活の中で、心をぐちゃぐちゃにされて、ましてや、自分でもぐちゃぐちゃにしてしまい、完全に疲弊しきっていました。

 あたしは、だんだんと自信を失っていきました。世間体なんて気にしなかったはずなのに、自分の道を行くことを大事にしていたはずなのに、気付けば、あたしは他人の目を怖がり、いつもびくびくしていました。そうやってずっと恐怖心を抱くことはとてもストレスなのに、疲れてしまうのに、心を犠牲にしてでも、あたしは疑心暗鬼にならずにはいられませんでした。そんな心の疲弊と共に、元気が取り柄だったあたしはだんだんとそれを失って、小さな笑いや幸せでは笑えなくなってしまいました。

 そのうち、あたしは彼女たちとでさえ、一緒にいることが怖くなりました。薄っぺらい関係だと思っていることが、さらにそう思ってしまう原因となったのでしょう。あたしには、彼女たちの話す内容が、あたしを嘲笑っているようにしか聞こえませんでした。あたしに発するその言葉の裏の意味を常に考えてしまって、もはや、あたしは、彼女たちの話に集中していませんでした。そのせいで、「話を聞いていない」と何回も怒られました。あたしは、あたしの耳の中にある機械が壊れているのであれば、すぐにでも修理してもらいたいと思いました。ですが、そんなこと、できるはずもなく、耳の機械はずっと壊れたままでした。

 あたしは、花が好きでしたから、庭にある花をふと見てみました。日光が照り付けているのに、まるで水も肥料も与えられていないかのようにその花は、寂しくしおれていたのでした。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る