BreaKing the World 3

渋谷かな

第1話 B3

「はあ!? キャストまで魔物に侵攻された!?」

 渋谷キャスト。渋谷高校の側にある商業ビルである。

「どおりで今日は学校に来るまで魔物が多いと思ったよ。」

 魔物にビルや施設などの拠点を占領されると魔物の出現率があがる。

「そこで全校生徒でキャストを奪還するように、渋谷区役所から伝達がありました。」

 渋谷高校の渡辺先生。

「公務員なんだから自分たちが魔物と戦えばいいんだよ。」

「地位を生まれやお金で買った剣も魔法も使えない連中には無理だ。」

「ああ~嫌になる。コネばっかりだな。」

「どうせ公務員さんは強い剣士や魔法使いを雇って自分たちだけは生き残るようにしてるだろうよ。」

「こんな世の中でも死んでいくのは弱者だけかよ。」

「そういうなよ。おかげで今回も経験値が稼げる。」

 渉と格は嫌でも戦いに駆り出される。

「後は頼んだ。私は学校を守っているからな。」

「ええー!? 先生は一緒に戦ってくれないんですか!?」

「私は死にたくない。」

 今まで渡辺先生が生きてこれたのは生徒を見捨てて逃げ回っているからかもしれない。

「大丈夫だ。上級生がおまえたちを守ってくれる。」

「上級生?」

「うちって全校生徒は10人もいませんでしたよね?」

「雅も死んだから、1年も俺たちを含めても4人しかいないし。」

 魔物に殺されずに高校生になれる生徒の数は少ない。それから高校生になり戦闘に駆り出されるようになればなるほど、強くなり生き残るか、死ぬかのどちらかである。

「山本紀。私、攻撃魔法が得意よ。」

「中村仲。俺は弓だ。遠距離攻撃は任せろ。」

 これで4人。同学年全てだった。

「ところで上級生たちはどこにいるんだ?」

「もう先に拠点攻撃に行ったみたいだよ。」

「じゃあ、俺たちも行こう。」

 渉たちは渋谷キャストに向かう。


「なんじゃこりゃ!?」

 渉たちがキャストにつくと、魔物たちは死に絶えていた。

「おまえたち遅かったな。」

「誰だ!?」

 そこに少年と少女が現れる。

「渋谷高校3年生の小林星。」

「同じく3年の加藤剛。」

 現れたのは同じ高校の先輩であった。

「スゴイですね。先輩方。もう魔物をやっつけたんですね。」

「いいや。今、2年生たちが中の魔物を掃除している頃だろう。」

 拠点制圧は2年生に任せたらしい。

「私たちはこれからここに現れる魔物を倒さなければならないのでな。」

 噂をすれば魔物が姿を現す。

「で、デカイ!?」

 現れたのは巨体なオークだった。

「あんなものに勝てるわけがない!?」

「バカ野郎。あれを倒さないと我々は生きて帰れないぞ。」

「いくぞ。死にたくなければ隠れていろ。」

 上級生の二人はオークに挑んでいく。

「どうする? 渉。」

「俺たちは上級生の邪魔にならないように雑魚を片付けよう。」

「分かった。」

 渉たちはスライムやゴブリンの相手をしていく。


「くらえ! オーク! 強振斬り!」

「永遠に凍ってしまえ! 氷の魔法! アイス!」

 星と仲が巨大な敵に立ち向かう。

「ガオー!」

 しかしオークも二人の攻撃を跳ね除ける。


「えい!」

「やあ!」

 渉たちは雑魚のスライムたちを倒していく。

「なんなんだ!? この数は!?」

「倒しても倒してもキリがない!?」

 しかし次第に魔物の数に押されていく。


「おまえたち! 遅いぞ!」

「やったー! 援軍だ!」

 その時、施設から2年生が3人出てくる。

「た・・・・・・助けて・・・・・・。」

 しかし外に出てくると息絶えて2年生3人は地面に倒れ込んだ。

「何!?」

「あれはなんだ!?」

「ニャア。」

 キャストの中から強大な化け猫が現れる。

「あれは!? キャットストリートで倒したはずの化け猫!?」

「生きていたのか!?」

 以前に倒したはずの化け猫であった。


「撤退するぞ! このまま戦いを続けてもジリ貧だからな!」

 あっさりと上級生たちは逃げ出す。

「ええー!? 待ってくださいよ!? 僕たちは置いてけぼりですか!?」

「学校まで走れ! 自分の身は自分で守るんだ!」

 渉も逃げた。

「ギャアアアアアアー!?」

「嫌だ!? 死にたくないよ!?」

「ニャアー!」

 しかし学校には紀と仲は帰ってこなかった。

 つづく。

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