第15話
せいぜいどんなに強い人間、どんな強力な魔法、最強と言われるドラゴンですらも、村1つを一瞬で消滅させる程度だもんな。王都レベルの街を一瞬では無理だと思ってるもんな。
違うんだよ。
王都どころか、核兵器一つで王都10個分くらいは一度に壊滅できちゃう。その地球の化学よりもずっと進んだ宇宙人の兵器だよ。どれだけすごいレベルなのか全く想像がつかない……。いや、想像しようと思えば想像できなくもないけど、現実味がない。
でも、きっとそれは現実になるんだよ。
あれ?俺にすら現実味がないと感じる話を、陛下にしたところで、受け入れてもらえるんだろうか?
って、今はそんなこと考えても仕方がない。陛下に家臣とかえらい人いっぱい集めてもらえば一人くらい真剣に国のためにと動いてくれるさ。
そうか。何も陛下に直接じゃなくてもいいか。宰相だとか将軍だとか国のある程度えらいさんでも構わない。
となれば、メリシャの周りにはいろいろ、居たよな。
「アレン様、もしかしてサラ様が……?」
は?
何?
「そうだ。ある意味サラが、私の邪魔をしていると言える」
待て待て、どうして、サラが皇太子が陛下と会うのを邪魔してるって話になるんだ?
さすがに何もかも、サラに罪を擦り付けるとか、堪忍袋の緒も切れるってもんだ。
「今、この場にいないサラ様が、何をどう邪魔をするというのでしょうか?」
皇太子に対して不敬な言葉遣いだと処罰されるかも?とは思ったけど、どうせこのままらちが明かなきゃ1年後には死ぬんだ。知るか。
お前らも道ずれで全員死ぬことになるだけだ。
「まさに、居ないということが問題なのだ」
は?
「サラ様は、まだお戻りにならないのでしょうか……?」
「ああ。私のせいでサラがいなくなったと、公爵家から父上に苦情が入った。公爵家ともめるわけにはいかないと、サラが戻るまでは仮廃嫡処分の身だ」
イラ。
「恐れながら皇太子殿下、サラ様が姿を消したのは、皇太子殿下のせい以外考えられませんよ?なんで、自分のせいじゃないと思うんですか?」
皇太子が首を傾げた。
「いや、むしろ、なぜ私のせいなのだ?」
イラ。
「婚約破棄直後にいなくなったのですから、婚約破棄が原因に決まってますよね?」
皇太子がさらに首をかしげる。
「いや、だから、なんでだ?」
「師匠、どうしてサラ様とアレン様が婚約破棄をしたのをご存じなのですか?緘口令が敷かれて一部の人間しか知らないはずなのに」
うおっ、そうなのか!
鏡テレビでのぞき見してたとかばれたらまずいか?
「た、助けを求める者の声が、その、時々、聞こえることが……あって……」
なんかそういう設定の漫画とかあったよなーと、適当なことを言ってみる。
人の声が聞こえるスキルとかもありそうじゃね?多分探せばだれかが持ってるよね?
「さすがです。救いたい、助けたいあまり、助けを求める人の声が聞こえるなんて……!素晴らしいです。私も、もっと頑張って、助けを必要としている人を助けられるようになりますっ!」
あっさり信じてもらえたけど、大丈夫なのか、メリシャ。
単純すぎないか?
「助け?サラは、サラはそんなに苦しんでいたのか?……私の婚約者でいることがそんなに苦しかったのか?」
は?
い?
「そうか。それで……メリシャの師匠、私との苦しい婚約を破棄したので、心底解放された気持ちになってどこかでゆっくり静養するために姿を消したと、そういうこ」
殴っていいかな?
さすがに、何言ってんのか分かんなすぎ。
「こーの、馬鹿ちんがー!」
ごすっ。
さすがに、グーパンチとか無理なんで。
頭にチョップ。
「いてっ」
「癒し」
皇太子が頭を押さえた瞬間にメリシャが癒した。
うん、痛くないんだから、ノーカウント。ってわけで、メリシャ、何気にいい仕事した。
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