第14話
「メリシャの師匠?」
メリシャがキラキラ輝く瞳で、俺の背後にいる人間に俺の話をしている。
「はい。そうなんです。私、師匠に心を救われました。そして、師匠のお考えはとても素晴らしくて……思い出しても、涙が出ちゃうくらい……」
マジ泣き出した。何なの?
俺、女子高生(の年齢の女の子)を泣かすようなことした覚えないんだけど……。
「メリシャの大切な師匠なのだな……それは先ほどは失礼した。許してほしい」
と、アレン様がメリシャの隣に立ち俺の顔を見た。
う……ぽ?
どう見ても、金髪輝くその髪と、真っ青スカイブルーな瞳と、整った目鼻立ち……見覚えがあるざんす。
……。
「も、もったいないお言葉です……皇太子殿下」
ずずずっと、慌てて頭を下げる。
うひゃー。
俺、引きが強くないか?
いきなり目的の人物に遭遇。しかも、今のところメリシャの師匠だと思われて、好感触。
このまま、陛下に会わせてくれと頼めば何とかなるんじゃないか?
いきなり頼むのは駄目だろうか。
えーっと、聞いてみるだけでも聞いてみるか?
「へ、陛下に会わせていただけませんか?」
いきなりすぎたか。
皇太子の顔が、「へ?」って言ってる。
「アレン様、お願いします!」
メリシャがアレン殿下に懇願。
「何故、父上に会いたいんだ?」
でれっとなって、二つ返事でメリシャの頼みなら、仕方ないなぁとはさすがに行かないようだ。
訝しげな顔で俺を見ている。
えーっと、なんといえばいいんだ?
アレン殿下はさすがに「ウィール星人」の話は耳に入っているのか?
もし、まだ入っていないのなら何を言っているんだってなるよな。いや、だけど、とりあえず陛下に伝えてくれっていえばいいのかな?
ウィール星人がどうとかいう男がいたけどみたいな感じで……。
「アレン様、それはもちろん師匠が陛下にお会いしたいという理由は一つです!」
メリシャが勝手に殿下に話始めたぞ?
待て待て、何も教えてないよな?
「世界中の皆を救うためです!」
ばばーんと音声が聞こえそうなくらいメリシャが堂々と言った。
……あ、うん。
まぁ、結局ウィール星人と戦って勝つために、宇宙人とは何たるかを教えてに行くわけだし。世界の皆を救うためで間違いはない。
間違いはないけど、ざっくり過ぎるよね。
「そうか、流石メリシャの師匠だけのことはある」
って、納得された!
「だが、メリシャの頼みでも……メリシャの師匠が望んでいても、会わせることはできない……」
殿下が首を横に振った。
「すまないメリシャ……」
ぐぐ、流石にそんなにトントン拍子に話は進まないか。じゃぁ、やっぱりウィール星人のことを伝えてもらって、もしくは手紙を書いてそれを渡してもらった方がいいのか?
「すまない、メリシャの師匠。わけあって、私も陛下には会うことができない状態だ」
はぁ?
皇太子が陛下に会えないってどんな理由?
まさか、このままウィール星人のことはなかったことにしちゃおうみたいなことで、城の修繕だとか謁見の間で起きた惨劇の処理だとか、いろいろ終わるまで来られちゃ困るみたいな感じ?
もう来ないだろうとか思ってんの?
いや、1年後に来るって!
それとも、中途半端に対策を立てるあてがあって、それで満足しちゃってたりする?
結界魔法を強化させるとか、全く無駄なことをして満足しちゃってる?
それとも、お城の秘密通路から逃げちゃえば平気とか思ってたりしないだろうな!
自分たちだけ助かる手段を考えて終わってないだろうな?
……全人類が、お前ら各国の王族の肩にかかってるとか、分かってない……んじゃあるま……。
わかってないよなっ!
宇宙人という脅威、分かってないよな!
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