第7話 白熱
チャットでの作戦会議が白熱してきた。
『遺伝子改変なしの、化学物質による汚染と感染症が除外できた。どのような遺伝子改変が行われるかと、遺伝子を細胞内に持ち込む方法を当てればよい』
『それでもかなり候補はありますね。ヒント3つと答3回、うまく正解できるでしょうか?』とユメコはいたって冷静、最初からそうあってくれれば。
『重要な条件がある、遺伝子改変の効果が徐々に表れた場合、先に発症した人間が警告となって対策が講じられ、生き残る者が出てくる可能性がある。不妊遺伝子とかも、絶滅する前に克服されるかもしれない。全員を滅ぼすためには、一斉に要素を取り込むか、遺伝子改変による効果が一斉に現れるかのどちらかが必要だ』
『COVID-19の感染力をアップさせて、致死率100%にしたウイルスが世界中で同時多発したらそんな感じにならないか?』安田が具体例をだしてきた。
『大多数の人類が死亡するが、絶滅は難しい気がする』
『プランBを、用意しているのでは? 安田先輩の強力ウイルスの蔓延でも絶滅できない場合に備えて、とどめの一撃として』ユメコの意見も冴えてきた。
『多分、そうした2段構えなのだろう。3段階以上はもう無視しよう。
次の質問はそこを切り分ける』
『了解』『それでよいと思います』
「最初の攻撃を逃れたものへの攻撃が用意されている2段階の攻撃方法か?」
「YESよ!
複数段階の攻撃を読み、2段階に絞ったこと、褒めてあげる。面白くなってきたわね!」
『最初の攻撃方法は、遺伝子を改変されたウイルスか細菌によるものでほぼ決まりだと思う。2番目の攻撃がわからない。最初の攻撃で人類はかなり防御を固めるはずだ。遺伝子改変を伴う2番目の攻撃は可能なのか?』
『先輩、2番目の攻撃は遺伝子改変と関係ないのでは? 庭の雑草駆除の時、草を刈ってから除草剤を撒きます。 違う方法の可能性があります』
『そこをはっきりさせるか? でも全く別の方法だと絞り切れそうにない』
「2段階の攻撃はどちらも遺伝子操作をふくむものか?」
「YESよ! 異なる方法だけど、どちらも遺伝子の改変に関連する方法よ!」
『絞られたけれど判らなくなってきた。ウイルス感染を逃れたものに必ず作用する遺伝子改変に関わる物ってなんだ?』
誰もチャットを返さない。
安田が暫くの沈黙の後にチャットを返した。
『きっと、治療方法かワクチンだ。感染していない者にも必ず施されるとしたら……
ワクチンの一択だ!』
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