第6話 開戦

「私たちカリスが人類を滅ぼす方法を応えておくれ?」


〝これは予想していたぞ!〟

『予想が当たった、最初の2問は俺にいかせてくれ』

『了解』『先輩、頑張ってください』


「その方法は地球圏外からの物理的な攻撃によるものか?」


「NO、物理的な攻撃ではないわ。」

 チャットで2人に今の質問で得られた成果を伝える。

『小惑星の衝突や太陽フレアなどの直接攻撃は除外できた。多分、カリスの攻撃手段は人間の精神支配によるものだと思う』


「その方法は核分裂反応に依存するか?」


「NO、核分裂を利用するものではないわ」

『核戦争、高レベル放射性廃棄物の漏出の可能性は除外できた』

『水爆は核融合反応では?』安田の問いかけ

『水爆も起爆装置には核分裂を使用している。実用的な核融合反応炉は現在、稼働していない』核分裂に絞った意図を知らせる。


『さあここからが大変だ。感染症、環境汚染、集団催眠による自殺、不妊化、何でもありだ。どこから行くか?』

『感染症やバイオテロを切り分けましょう』ユメコが提案してきた。

『ウイルスや細菌などの微小生物に依存したものかと聞きましょうか?』

『待ってくれ。遺伝子操作は、その質問で対象となるかな?』

『遺伝子操作は、バクテリアかウイルスを使って標的の遺伝子を細胞に組み込むと聞いたことがあります』ユメコが応える。

『何か最近、遺伝子を使った薬剤での治療法の話、聞いたような気がするんだが……』


『mRNAワクチンのことだ。新型コロナ発生の時に、各国で争って開発されていたと思う』しばらくの沈黙の後に、安田がチャットを返す。

『そうだ、それ! 確か標的のウイルスのRNAを脂質の膜で包んだもので、細胞内に届いて免疫に必要なウイルス由来のタンパク質を合成するとかだった』

少ししてからユメコからのチャットが届いた。

『ウイルスや細菌及び薬剤に依存し、細胞に作用するものかと聞きましょうか?』

『それで行く』


「その方法はウイルスや細菌及び薬剤に依存し、細胞に作用するものか?」


「するどい質問ね。YESよ!」


『これで薬剤による遺伝子操作を含めることができたけれど、薬剤全般が含まれてしまった。次の質問はギャンブルになるけれどよいか?』

『最初からお前に任せている』『先輩でダメなら諦めがつきます』


 ゆっくりと息を吐いて。心を落ち着かせてから、質問を投げた

「その方法は遺伝子を改変するまたは改変した遺伝子を利用するものか?」


しばし沈黙しながら微笑むカリス


「YESよ!」

〝よし、これで大分絞られてきたぞ! NOだったら薬剤全般に網を広げる必要があった。〟ここまでで30分が経過している。

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