第4話 チーム結成

 サークルの溜まり場には、俺と安田、そして一年後輩のアニオタ女子、山﨑由美子、通称ユメコがいた。

 クイズに強そうなメンバーを選びたかったが、夏休みのど真ん中、サークルメンバーは皆、旅行や帰省、バイトで都合がつかない。最後の一人は暇にしていた彼女になった。


「……という訳で、今度の日曜日の午後7時からエイリアンとゲームをすることになった。

 ファースト・コンタクトがいきなり人類のクライマックスだ。地球側のメンバーは俺たち3名。

 クイズの内容は当日通知される。こちらからYES/NOの2択の質問で7回ヒントを求めることができる。解答は3回まで、制限時間は1時間、各自、クイズ内容と答えを引き出すための質問の案を考えてきてくれ。誰かの予想が当たれば大分有利になるはずだ。全員が外れたら仕方がない、アドリブで対応するしかない」


「それドッキリPGじゃないですか? エイリアンがいたらもっと話題になってますよ。ZUUMなのが超怪しい!」


「実際に彼女を観たら信じると思うよ。ちょっと人間離れしているから」


「まあいいです。安西先輩の頼みであれば、参加してもいいです」度の強い眼鏡越しにこちらを見つめるユメコの表情が読めない。

 小柄で、染めていないショートカットの黒髪が似合う普通の女子に見えるが、その部屋には無数の映像記録媒体と録画機器が溢れている。

物言いに棘があること、部屋が散らかっていること、眼鏡の下の目線がきついということでサークルの男子にはあまり人気がないのだが、サバサバした性格が俺には付き合いやすくて、イベントにはよく声を掛けている。出席率は結構高い。

 ユメコを誘おうかと提案した時に、

「安西が誘えば、多分来ると思うよ」と意味ありげに薄笑いしていた安田の反応が気になるところだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る