第23話 口づけ

(※性的表現有り)


公園のベンチに彼と2人で並んで座る。寒いからぴたりとくっついて。陽はまだ高い、冬の柔らかな日差しが私たちを暖める。まだこんな明るい時間だというのに、健二が顔を近づけてきた。瞼を閉じる。程なくして、冷えた唇が私の唇にそっと重なる。

問題はその後だ。


「や、ちょ、ちょっと、なんで舌入れるの!?」


健二は何でそんなことを聞くの?と言わんばかりの、面食らった表情をしていた。

「え、だって気持ちいいじゃん」

「は?え、気持ちいい!??」


いやいやいや、これから一戦交えるわけじゃないのに、昼間の公園で、これはなしでしょう!?


そのような趣旨で抗議すると、叱られた犬のような顔になって、こちらを上目遣いで見てくる。

「・・・だって、唇が重なったら、中に入りたいんだもん。最高に幸せを感じるのになあ。男はみんな、舌入れたいと思ってるよ」


えええええ、本当?そんな話聞いたことない。健二以外の男を知らないし、その辺の男子に聞けるわけないし。ネットで検索?やだー、恥ずかしすぎる。


世の男性の皆様、これは本当なのでしょうか??声を大にして、この疑問を叫びたいと思う、冬の午後であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る