第15話 主よ、人の望みの喜びよ
主は仰いました。
「汝の隣人を愛せよ」「汝の敵を愛せよ」
ならば、汝であるところの、私を誰かが愛してくれるのでしょうか?
汝たる私自身が「私」を愛せないのに、他の人間が愛してくれるとでもいうのでしょうか。私が誰かの「隣人」であり、「敵」であったとしたら、その誰かはきちんと私を愛してくれるのでしょうか?
主よ、見ていますか。
私は隣人も敵も愛します、ですが汝たる私だけは愛せません。
そのような不完全な人間を作りし主よ、私を地上に降り立たせて、荒野に放置されし主よ。私は善行を積み続け、私以外の人間を愛しつづけます。
苦行のような人生の果てに、私のくぐる天国の門は、たしかに待ち受けているのでしょうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます