第15話 イケメン①
学校から帰ってきたわたしはそのまま自分の部屋に行く。
「お姉ちゃん、お帰りなさい。」
弟のイオがわたしに挨拶をする。いい子だ。いや、それよりもイオの隣に初めて見る……男性がいた。
「イオ、その人は?」
スラっとした長身のその男性はとてもクールなイケメンだった。眼鏡を指で直すとわたしに視線を向ける。黒のタキシードを着ており、漫画に出てきそうなイケメン執事のようであった。
「挨拶をしよう。私は『ヴェネディクト=ヴェルツリー』。初めまして……姉君。」
いまこのイケメン執事はわたしを『姉君』と言った?どういう……いや、まさか!?嫌な予感がした。部屋に見知らぬ執事がいただけではなく、別の変化も気になっていた。それは……二段ベッドが三段ベッドになっていたのだ。
「ヴェネディクトさんって、もしかして……イオと同類?」
イケメン執事は眼鏡を外してレンズを布で拭く。
「如何にも。貴女に会うためこの世界に来たのだ。『ヴェネディクト』でも構わないが、愛を込めて『ヴェヴェ』と呼ぶのも好ましい。」
「どう見てもヴェネ……ヴェヴェのが年上だけど、わたしがお姉さんなの?というか、この部屋に3人って狭いし……イオはともかく年頃の男女が一緒はマズイんだけど。」
イオと同類なら見た目に惑わされてはならないことを知っていた。人外に人類の概念は当てはまらない。しかし、明らかに成人男性なヴェヴェと同じ部屋は正直困惑した。
階下からお母さんが夕食を知らせる声がかかる。
「私は妹だ。さ、行こうか。」
頭が真っ白になるわたしをヴェヴェはあろうことかお姫様抱っこして階下のリビングに連れて行く。
「本当に仲良しね、あんたたち。」
イケメン執事がわたしを抱っこする姿を見た母からはそんな言葉しか出なかった。つまりこれが我が家の日常として刷り込まれたということだ。夕食は酢豚だった。
「お母さん、ヴェヴェは娘、わたしの妹……だよね?」
「は?当たり前でしょう。くだらないこと言ってないで、食べ終わったらお風呂入っちゃいなさいね。」
コイツ等はもう少し人類の常識を学んでもらいたいものだ。多少イラっとしながらも、今日は学校で体力測定がありすごく疲れ汗もかいたので、お風呂に入って早く寝たかった。
◇◇◇
ガチャ。
イオの頭を洗っていたわたしは、風呂場に入ってきたヴェヴェに驚く!
「きゃあー!ちょっとどういうつもり!?」
「姉君と風呂に入るだけだが?」
わたしは身体を手で隠しながら文句を言いつつ、ヴェヴェの裸体に目が行く。何と……小ぶりに丸みを帯びた胸があった。女性!?イオには胸や股間に何もない人形のような人型だったが、ヴェヴェには女性の胸がある。妹ということか。
「ヴェヴェ、そのイケメン顔に女性の胸はどうかと思……イヤァーッ!!」
ヴェヴェの股間には立派な男性のアレが付いていた!!
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