第10話 ぼっち飯②
わたしはハニワにもう一つの話をした。それは、イオとの出会いに際して体験した幽体離脱の末に宇宙の外まで行ったこと。その不思議な空間でイオと出会い、わたしに会いにこの地球に来たと思われること。
「イオ君には確認したの?」
いや、していない。目覚めたら朝でベッドにイオは居なかった。お母さんに聞くと日直らしく早くに登校したらしい。わたしは寝過ごし、朝食も摂らずにダッシュで登校したのだった。遅刻はしていない。
「それは真実と夢との区別がつかない。例えイオ君が事実だと証言しても証明にはならない。何か証拠があれば別ですが。」
「帰ったらとりあえずイオに聞いてみるよ。」
その話はそれ以上は何の進展も無かった。彼女にとってあまりに突拍子もないことだったのだろう。わたしは自分のお弁当を食べ終わったので立ち上がる。
「あれ、あっちに誰かいるね。」
屋上の貯水タンクから離れた場所にひとり座っている後姿を見つけた。低い位置に左右の三つ編みの女子生徒。
「彼女には……関わらないほうがいいです。」
ハニワは俯いたままそれ以上は口を開かなかった。わたしはそのまま教室に戻った。
◇◇◇
帰り道、見覚えのある三つ編みの後姿が見えた。普段なら一度見た程度ではすぐに忘れるんだけど、ハニワがあんなことを言うから目についてしまった。その子は下を向いてゆっくりと歩いていた、何か悩んでいるように……。気にはなるけど、厄介ごとに首を突っ込みそうで視線を逸らした。
突如、街に化け物が現れた!コウモリのような黒い身体と翼で空を飛び、空中から両手に持ったマシンガンを乱射していた。人々は逃げまどい、スコールのような銃弾に倒れる人々。三つ編みの子はその場に座り込みコウモリの化け物を呆然と見上げていた。わたしは彼女が気になりながらも、スマホで化け物を撮影する。どうせまた魔法少女が来て倒すだろうから。
10分経過したけど魔法少女は現れない。マシンガンを打ち尽くした化け物は、四肢の鍵爪で人々を襲う。
「何してるのよ魔法少女はっ!!」
何故かわたしは苛ついていた。こんなに人々が殺されているのに正義の味方気どりの魔法少女が来ないなんてあるのかと。
30分経過。あの三つ編みの子が目の前で殺された。わたしは溜息を付く。
「あの子、死んじゃった。魔法少女が来ていれば死ななかったのに!役立たずだなぁ。バカ!!」
その子のところに行くと……彼女の死に顔は微かに微笑んでいた。
「死にたかったのかな?……願いが叶った顏。」
多分、ハニワは知っていたから関わるなと言ったんだろうなと、いま気が付いた。
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