第4話 協力者②
少し遡る。わたしを呼び出したこの学年一の天才様は話し始める。
「鈴木さんは人間ですか?物理構成上は平凡な人間だけど。」
天才の言葉は凡人には難しい。まぁ、思い当たることはあるんだけど。
「わたしの力のことかな?ハニワが聞いていることって。」
「話が早くて助かります。」
ハニワがそう言うとコンピュータ室にあるパソコンのモニタ全てに色々なわたしが映し出された。
「なっ!?何これ〜!?」
わたし自身知らない映像ばかりで、酷いのは着替え、入浴、トイレまで!!
「鈴木さんの異常行動を感知してからずっとモニターしてたの……24時間。鈴木さん自身のスマホのカメラ・通話・ネットデータをはじめ、街中の防犯カメラの映像など。アタシが知りたいのはコレとかですね。」
ハニワが指差したのは……わたしがクズみたいなチンピラ達を亡きものにした映像だった。
「結構分かるもんだね、顔とか声とか。」
「先に言っておきますが、アタシの身に何かあればこれらの情報が即座に自動的に全世界に拡散されます。では、鈴木さんのお話をお願いします。」
このハニワは自分が始末される危険性を排除したのだった。でも、それを知らずにハニワを始末して情報が拡散されるのはこちらにも致命的だったので感謝しかないのだが。
「その力は……わたしにも分からないんだよね。先月位に急に使えるようになったんだよ。」
「アタシが鈴木さんの異常行動を感知したのも近い頃ですから嘘ではないのでしょうね。力の発現要因が分からないというのは確かめようもありませんが。でも、何となく分かります。」
マジマジと観察するようにわたしを眺めながら、ハニワは本題を口にする。
「鈴木さん、わたしのデバイスになってもらいます。いや、上からな言い方でしたね。デバイスになってもらえないですか?」
言い直しても何か引っかかるのはやはり見下しているのだろうなと思った。別にいいんだけど。
「デバイス?いや、それよりもわたしのことばかり聞いてないで自分のことも説明しなよ!わたし以上に変だよアンタ。」
指摘されたハニワは淡々と語る。
「わたしは……生まれた時から量子演算ができて、無限に近い記憶領域を持ち、世界中のネットワークに繋がり、世界中のデータをリアルタイムに利用できる人間です。何でこんなことができる体質で生まれたのかは分からない。発現要因が不明なのは鈴木さんと同じですね。」
「よく分からないんだけど……。」
やっぱり天才の言うことは分からない。
「とりあえず、デバイスになってもらえますか?」
デバイスの意味が分からないけど……
「ハニワが上みたいな感じだから何かムカツク。『共犯者』ならいいよ。」
「アタシを犯罪者にしないでください。では……『協力者』で。」
とりあえずそれでオッケーした。
別れ際、ハニワこと兄輪(アニワ)はわたしのスマホのロックを解除してくれた。お礼も入れておいたとか言ってたかな?
帰宅後、スマホを見ると見たことのないコインのようなアイコンができていることに気付く。タップしてみるとこう表示されていた。
『現在の所持通貨数: 100ビットコイン(BTC)』
何だこれ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます