第3話 協力者①

 突如、スマホがロックされた……。家でだらだらと動画を見ていたら急に画面がロックされ、ロック画面には見覚えのない表示が。


『この端末はロックされました。ロックを解除するには10月17日(金)16時に校舎3階のコンピュータ室に来ること。来ない場合にはこの端末のデータが拡散されます。お待ちしてます。』


 身代金要求ウイルスにしては要求がおかしい。10月17日(金)は明日。ウチの高校のコンピュータ室は3階。


「これは……わたしを誘い出してる!?」


 明らかに危険な罠の香りがするスマホ画面を見つめつつ、何が待っているのか分からないけどそこが楽しみに思えて、その時のわたしはワクワクしていた……その時は。


◇◇◇


 翌日の16時、放課後のコンピュータ室は誰もいなかった。普段はコンピュータ部が部活で使っているけど今日は部活休みなのかな。どーでもいいけど。


「よく来てくれました、鈴木さん。」


 開いていた入口に立っていたのは、確か同学年で常に成績トップの……


「えーと、1組の……ハニワさんだっけ?」


「兄輪(アニワ)です。」


 惜しい、似てた。


「わたしのスマホをロックしたのはアンタなの?ハニワさん。」


 わざと間違えてやった。


「そう、ロックはアタシがやりました。話しをしてもいいですか?」


「回りくどいね。そうするために呼んだんでしょ?手短にお願いするよ、ハニワさん。」


 彼女は嬉しそうに口角を上げて話しを始めた。


◇◇◇


「そんなこと……信じられないよ。というか、何を言っているのか訳が分からないよ。」


 わたしは彼女の話のほとんどが理解できなかった。


「とにかく、鈴木さんはアタシの言った通りにすること。あ、上からな言い方になってますね。アタシの協力者になってもらう……分かりますか?大切なことだからもう一度言いますね、デメリットを。」


 この天才はご親切にもバカなわたしのためにもう一度説明してくれた。


「アタシに協力してもらえない場合、鈴木さんのスマホ内のデータ、位置情報データ、SNS投稿データ、行政機関が保管する個人データ、街中の防犯カメラに映った映像データ、鈴木さんの部屋に設置した盗聴データなど、鈴木さんに関する全データを表と裏の全ウェブネットワークへの拡散、及び、鈴木さんを知る全ての人の端末に先程のデータを転送します。勿論、アタシの身に何かあっても自動的に実行されますから。」


「わかったよ。協力するよ……ハニワさん。」


「兄輪(アニワ)です。」


 この瞬間、わたしが始末できない人間(?)ができました。

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