捕まった真実

「まず俺が隠してたラリルレロを一気に飲み干したお前は、『ふぅー!これが無いと始まんないよな!』って言った。すると顔がぼーっとしだして、ガクンと頭が下を向いた。」


 おじさんは続ける。


「俺もその時はラリルレロを飲んでるとは思っていなかったから、ずっと俯いてるお前に大丈夫かって駆け寄ったんだ。」


ゴクリ。俺はドキドキした。


「そしたらお前は急に買ったばかりの装備を外して行くんだよ。下を向きながら、胸当てとか全部。」

「俺の店は市場の真ん中だ。人がいっぱいだ。その中で無言でお前は脱いでいく。お前の頭がおかしくなったのかと思った。」


「……」


俺は多分今白目になってると思う。これはまずい展開だ。


「そしたらついにお前はパンツまで脱いだ。フルチンだ。フルチン。お客さん困ります!って俺は言ったんだが、そうしたら、『俺は勇者だー』って。両手剣を置いて、下半身についてる勇者のツルギを振り回しながら人混みにな……」


うん。走ったらブランブラン振り回るよね。あれって。もういいかな、聞かなくても、


おじさんは続けた。


「いや、まだあるんだ。俺がラリルレロって気づいたのはその時だったんだが、もうお前は止められなかった。人混みをフルチンで駆け回り、女性を見る度スカートをめくって色を叫んでたんだ。しろぉぉぉ、あかぁぁぁってな。」


「10人くらいのパンツを見た頃に、警備兵に捕まってお前は叫んでた。『俺は勇者だぞぉぉ!!離しやがれぇ!!』ってな。」


「そんでお前から薬物の匂いが検知されて、俺は所有者としてついでにバレたんだよ。使いもせずにな。」


おじさんの目からしくしく涙が出てるようだった。壁越しで見えないけど。


泣きたいのは俺だよ。勇者失格じゃん。


しばらくして、おじさんはボソッて言った。


「お前の中身って変態だったんだな。」


「うるせえよ!ほっとけ!」

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