必殺技を身につけたいんだけどどうしたらいい?

高町 凪

必殺技を身につけたい

「タイトル通りなんだけどどうしたらいい?」

「いきなり何言ってんの? タイトルって何のことだよ」

「いやだからさ、そろそろ俺も必殺技が欲しいわけよ。もう一人でもドラゴン倒せるようになったし、一人前の冒険者になる一歩手前、やっぱり必殺技の一つでも身につけてこそ先へ進めると思うんだよね」

「必殺技・・・ねぇ」

「という訳でなんか良い方法無い?」

「そもそもどういう技を身につけたいわけ?」

「うーん、こう、ズバッドガッ・・・って感じのやつ」

「・・・・・・・・帰っていいか?」

「何でだよ! もっと真剣に考えてくれよ!」

「それはコッチのセリフだ!!!」



「・・・うーん、中々思いつかないな」

「なぁ、やっぱもっと具体的な技をイメージしないと身につけようが無いと思うんだよ」

「具体的かぁ」

「例えば、剣にエネルギーを集束して斬撃として飛ばすとか、魔法を覚えてどデカイ火の玉を作るとか、色々あるだろ」

「あー、なるほど。けどなぁ・・・うーん」

「何か無いのか? そういう具体的なの」



「そうだなぁ。つっても今お前が言った斬撃飛ばしたり魔法使ったりってのは、既にできるしなぁ」

「ん? おい、今なんて・・・」

「あ、コレはどうかな、一度空に向かって放った魔法を雨のように地上に降らせたり」

「おい」

「あるいは巨大な槍を作ってそれを投げ飛ばすとか」

「おいって」

「あ、それともコレはどうかな・・・」

「おいコラ聞けやボゲ!!!」

「うおっ何だよいきなり」

「さっきから呼んどるわボゲ! それよりお前さっき何つった!?」

「え?」

「俺が言った斬撃だの魔法だのできるっつったよな!?」

「あ、ああうん。言ったけど、それが何?」

「そ、それが・・・」

「それが?」

「必殺技って・・・」

「必殺技って?」

「・・・ッ!! それが必殺技だってことだろうがー〜〜〜!!!!!!」


この日、この街に過去一番の叫び声がこだました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

必殺技を身につけたいんだけどどうしたらいい? 高町 凪 @nagi-takamiya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ