60行勇者

夢野楽人

60行勇者

「お前の仕事は、転生して魔王を倒すことだ。わかったな!?」


「えっ!? すみません。状況が全く飲み込めないのですが……」


「このバカ野郎! 何のためにインターネットがあると思っているんだ! 死ぬ前・・・にググっておくのが当たり前だろうがー! ったく、今の若い奴らは事前に調べておくことも、できんのか!」


 僕の目の前にいるのは、机を前にして椅子に座っている、禿げたおっさんである。


 灰色のスーツを着て、灰色のネクタイをしている。背は低く小太りだ。


 どうやら僕は、死んでしまったらしい……。


 覚えてることはあやふやだが、仕事で三徹したあとに意識を失ったようだ。


 気づくといつのまにかココにいて、訳がわからないまま怒鳴られている。


 ここがあの世? 


 想像していたのとは違い、周りは殺風景でなにもない。


 オッサンの大声だけが耳障りでやかましい。頭が全く回らない。

 


「いきなり仕事と言われても……」


「いつまで学生気分でいる気だ! 異世界転生なめんじゃねーぞ! 返事は『はい』か、『YES』か『喜んで!』だ。分かったかボンクラー!」


「いや魔王って強いんでしょ? 僕に勝てるわけが……」


「おまえ! やってもみないうちに、『出来ない』と決めつけんのか!? まずやってみてから言え! そう言った台詞は一人前になってから言え! やる気がねえーだけだろうがー! 仕事から逃げてんじゃねーぞ! 気合いと根性が足らん、このヘタレ!」


「……あのー、チートはもらえないんですか?」


「かー、すぐこれだ! どいつもこいつもチートに頼りたがる。そんなのあれば誰だって苦労せんわ! 楽ばかりしようとしないで自分で必死に努力しやがれ! このボケー!」


 とにかく一方的だった。


 オッサンは机をバンバンと叩き、僕はどやし立てられる。質問すら許さない。


 説明もなしに、無理な仕事を押しつけようとしていた。


 魔王を倒すなど、どう考えても不可能にしか思えない。根性論の丸出しだ。


 このオッサンは絶対におかしい。そもそも命令される、いわれはない。


 ……そして、水かけ論はいきなり打ち切られる。



「あーイライラしてきた。文句ばかり言ってないで、さっさと行け!」


「うわあ――――!」


 キレたおっさんに、僕は尻を蹴飛ばされて下に落ちていく。


 景色がめまぐるしく変わる中、地面に着地した。まだ生きてるのは不思議。


 僕の格好はTシャツ姿にもんぺズボン。履いてる靴はスリッポンスニーカーでどっかの作業員にしか見えなかった。


 ガデン系じゃないんだが……。


「あれ? 何だこりゃ-!? うわぁ、気持ちわりいー」


 足下を見ると、青色のグチャグチャした物がある。


 どうやら落下した時に踏んづけて、潰してしまったらしい。


 どうりで落ちても死ななかったわけだ。突き落としたオッサンに、僕は腹を立てる。


「魔王を倒す前に、死んだら意味がないじゃないか! まったく……ん?」


 そこに派手なドレスを着てティアラをつけた、女の人が声をかけてくる。


「おお、勇者さま! 危ないとこを助けていただき、ありがとうございます」


「えーと、あなたは?」


「王女です」


「…………」


 肩書きだけで個人名は名乗ってもらえなかった。いや僕自身、自分の名前が思いだせない。


 その他の記憶は残っているので、これは転生じゃなくて転移だろ……。


 王女から話を聞いてみると、どうやらスライムの上に僕は落っこちたらしく、魔物はつぶれて死んだらしい。


 助けたのはただの偶然? いや、これは全部仕組まれてるのかもしれない。


 ラノベやゲームじゃあるまいし、そんなに都合良く王女様と出会えるわけがないのだ。


 それと、いきなり「勇者」と呼ばれるのも変である。



「それではお礼もかねて、私のお城に御招待いたします。テレポート!」


「えっ!?」


 有無も言わさず、王女は魔法を使った。意思確認はされてない。


 僕達は原っぱから、城の謁見場えっけんじょうとやらに移動していた。


 目の前には王様らしい人が、段の上にある椅子に座っていて、僕の両隣には国のお歴々が立ち並んでいる。


 王女は転移魔法とやらを使ったらしい。展開が早すぎて僕はついていけない。


 少しは考える時間をくれー!


 こんなに簡単に移動できるなら、魔物からも逃げられたんじゃないのか?



「おおっ! よくぞ参られた勇者殿、儂が国王じゃ」


 この王様も名乗る気はないらしい。他の人の挨拶もひどいものだった。


「王妃です」「大臣です」「将軍です」「兵士です」


「ワン!」


 ……犬だな。もうどうでもいい。


「我が娘を助けてくれてありがとう勇者殿。それでは魔王を倒すために我が国に伝わる、絶対勝利最強無双無敵究極必殺の剣をさずけよう。それと同等の鎧もさずける。ありがたーく、かしこまーって受け取るがよい」


 魔王討伐を引き受けた覚えはないのに、勝手に話がドンドン進められてしまう。


 僕より強そうな筋肉モリモリの兵士達が、剣と鎧を目の前に運んでくる。


 伝説の武具とやらを間近で見て、僕は顔をしかめて感想をもらす。


「……これはひどい」


 鎧はさびだらけで、今にも壊れそうである。剣も同様で赤鰯あかいわしになっていて、何一つ斬れそうもない。


 この世に斬れる・・・物はなし。こんなゴミで戦えるわけがない。


 代々受け継いできたのかもしれないが、手入れもせずに何百年も放置していたら、使える方がおかしいのだ。


 少し考えれば分かることなのに、使えない物を押しつける方がどうかしている。


 ……それに、


「お、重い。この剣、僕は持てましぇーん!」


「なんですってー! ありえないわ!? この、ひ弱! 軟弱者!!」


「いやー、中学校から受験勉強だけやらされてきたので、運動はしたことがなくて、箸より重い物は持ったことがないんです。国大目指してたけど、一浪しても私大にしか入れませんでした――――!」


「お主の事情なんかどうでもよい! このままでは魔王に立ち向かえんではないか!」


 王様は僕を怒鳴りつける。自分勝手もいいとこで、いい加減僕も腹が立ってきた。


 そもそも絶対に魔王と戦う気はない。僕はこの場から、逃げ出す方法を考え始める。



「お父様、こうなったら……ヒソヒソ」


「ふむふむ、なるほど! 流石は我が娘」


 いつのまにか王女が王様に耳打ちをしていた。


 僕に聞かせたくはないようで、二人は邪悪な笑みを浮かべている。


 どうも嫌な予感しかしない。やがて王女は何かを持って近づいてくる。

 

 近寄られて、僕は思わず顔を背けた。香水の臭いがきつくて、鼻が曲がりそうになる。


 王女はおかまいなしに、布にくるまれた棒のような物を差し出してくる。


「それでは勇者さま、この魔法のワンドをお使いください。上にあるボタンを押せば、どんな敵でも木っ端みじんにできます。魔王と戦う時にお使いください」


「いえ、結構です。そもそも戦う気が――」


「いいから受け取りなさい!」


 半ば強引に手渡されると、杖は僕の手から離れなくなった。


 それを見て王女はニンマリと笑う。


 こ、これは呪いのアイテムか!? これってやばくない!?


 まずい、なんとか逃げねば! とりあえず、討伐を引き受けるふりをしよう。



「すみません、要望があります。王様」


「何だ? 言って見ろ。とりあえず、しかたなーく聞いてやる」


「魔王には定番の四天王とか、強い手下がいるんでしょ? 僕の護衛に将軍と兵士をつけてください」


「断る! 王国を守るのが我らの役目だ」


「そうだな、却下!」


 将軍は僕をにらみつけ、取り付く島もない。兵士達もそっぽを向いて、戦う気はなさそうだった。


 それでも僕は食い下がって、別な要求をする。


「じゃーせめて、魔王を倒すための特訓をしたいので、魔法学園に入学させてください。あと仲間も欲しいので冒険者ギルドを紹介してください。僕はチート能力を持ってないので、戦うには準備が必要です」


「我が国にはそんな学園やギルドはない! また魔王が攻めて来る前に倒さねばならん。準備してる時間はないから、サッサとけ!」


「えっ!?」


 準備をしてる間にバックれようと思っていたが、完全に当てが外れた。


 とにかく僕一人だけを、魔王と戦わせようとしている。


 何でも人に押しつければ出来る、と思っているとすれば頭がいかれている。


 あの、オッサンと同じだ。第一この国がどうなろうと、僕には一切関係がない。


 ここで王女が、ご褒美の話をしてくる。


「勇者さま、魔王を討伐されたあかつきには、この超絶世可憐華麗傾国の美女たる私と、この国を差し上げましょう。だから頑張ってください。あなたになら出来るわ」


「おだてられてもー……そんな物、欲しくないしー……」


 成功報酬は空手形にしか見えず、王女の自画自賛じがじさんを聞かされて、僕はウンザリする。


 突っ込みどころも満載だ。そう簡単に国を渡せるもんじゃないだろ!


 確かに王女は綺麗に見えるが、化粧がケバいだけでスッピンで見るのは恐かった。


 無料タダでも入らない……。


「それでは行ってらっしゃいませ、勇者さま。テレポート!」


「健闘を祈る」


「ちょっと待って! 話を聞いて……」


 またもやいきなり転移魔法が使われて、僕は逃げる間もなく飛ばされてしまう……。

 


 それから僕は気を失い、気がついた時には別な場所にいた。


 やや遠くに見えたのは、高くそびえ立つ石の外壁。どうやらお城のようだ。


 あれが魔王城なのか? 僕は疑問に思う。


「周りにあるのは森林とお花畑で、のどかな風景……とても恐ろしい魔王の城とは思えない。一体どうなってるんだ?」 


 そもそも魔王などと言われても、情報が少なさすぎるのだ。


 あのオッサンも王様も教えてくれないのが悪い。僕を小突こづき回すだけでムカつく。


 こうしていてもしょうがないので、城に向かうことにした。


 とりあえずこの杖が頼みだ。かなり怪しいけど……。


「……これは参った。城に入れない」


 近くに魔物がいて邪魔をしてるわけではなく、大きな水堀があって城に入れないのだ。


 跳ね橋が降りないかぎり、中に進みようがなかった。


 僕がおろおろしていると、あのオッサンの声が聞こえてくる。姿は見えない。


『オイ、うすのろ! 何をしている!? サッサと泳いで中に入れ!』


「僕は金づちで泳げないですよ。あと高い城壁があるから、侵入なんかできません」

『ボケっ! だったら壁をよじ登れ! 少しは頭をつかえ!』


「あのですね、道具もないのに無理ですよ。だいたい……もう六十行はとっくに過ぎてますから、もうこの話は終わりでしょ?」


『お前の台詞せりふとモノローグは全部で一行あつかいだ。こまけぇこたぁいいんだよ! タイトルなんぞ目を引くための看板だ。中身が一致するわけねーだろーがー! 男のくせにネチネチ、グチグチと小言を言いやがって! お前ごときが俺様に逆らうんじゃねー、分かったか!?』


「無茶苦茶だー!」


『やかましい! 城に入ったら様子は見れなくなるから、しっかり魔王を倒してこい!』


 一方的にオッサンは会話を打ち切った。ほんとに傲慢ごうまんで腹が立つ!


 オッサンの声が聞こえなくなると、なぜか跳ね橋が降りてきた。



「なんで?」


 疑問に思うも答えてくれる人はいない。僕は誘われるように丸太の橋を歩いていく。


 ビクビクしながらあちこちを見回すと、城の中にあったのは白い噴水と美しい庭園、それと立派な屋敷である。


 これは城塞ではなく、人が安全に暮らせる宮殿だ。決して魔物の住処すみかではない。


 どこを見ても魔物どころか人っ子一人見当たらず、耳を澄ましてみれば、小鳥の声しか聞こえなかった。


「これはどうなってるんだ? うーん……」


 腕を組んで考えてみても分からない。僕は大理石の柱がある立派な玄関へと向かう。


 意匠をこらした荘厳そうごんな両扉が、勝手に開いていく。


 驚きはしたが、僕は前に進むしかなかった。跳ね橋が上がってしまい帰り道はもうない。


 ここまでくると、なるようにしかならないだろう。


「お邪魔しまーす」


 一応礼儀として挨拶をする。城の中に入ってみると、中はランプが点っていて明るい。


 長い赤絨毯レッドカーペットが敷いてあり、僕はその歩行路を歩いていく。


 やがて人影が見えてくる。あれが魔王なのか?


 近づくにつれ、容姿がハッキリと分かった。見た僕は驚くしかない。


 柔らかそうなソファに、美しい女性が座っていた。


 顔は本当に美しく、他に表現のしようがない。人間離れしてると言って良い。


 厚化粧の王女とは全然違う。赤いドレスをまとい、角らしきものはなかった。


 そして気品あふれるたたずまい……僕がイメージしていた魔王とは全然違う。


 いや、そもそも本当に恐ろしい魔王なのか?


 僕は見惚れたまま固まってしまう。女性は愛らしい笑顔を向けて、挨拶してくる。



「よく来たわね勇者さん。私が魔王よ」


「あっ、はい、夜分に失礼します。あれ?」


 自分でも何を言っているか意味不明、疑問が渦巻いて頭が回らない。


「うふふふ、そんなに緊張しなくてもいいですよ。どうせ貴方は、もうすぐ死ぬのだから……」


「えっ!?」


 言われた途端、持っていた怪しい杖が光りだし、空中に数字が浮かびあがった。


 魔法のホログラム? 数字が一秒ずつ減っていく……こ、これはカウントダウン!


 時限爆弾だ――――!


 気づいた僕は大慌てする。


「あわわわわわ! 僕はボタンを押してないのに!」


 必死で引っ張っても振り回しても、手から杖は外れなかった。


 やがて僕は疲れてへたり込み、あきらめてしまう。もうどうしようもない……。


 どうやら女魔王は、全てお見通しだったようである。


 僕は王女にはめられたのだ。王様と、あのオッサンもグルだろう。


「可哀想な勇者さん、使い捨てのコマにされたのね。助けてあげたいけど無理なのよ。その杖はアナタの体の一部になってるから、もう外せないの。切り取ることはできるけど、その瞬間に体が爆発するわ」


「そうですか……」


 絶望を突きつけられ、足掻あがくのをあきらめる。ジタバタしてもしょうがない。


 まだ死ぬまで時間があるので、僕は女魔王から話を聞いてみることにした。



「何で魔王さんは、命を狙われてるんですか?」


「それはねー、私が王国の商売の邪魔をしたからよ。王国は奴隷売買・・・・うるおっているの。あー、あと麻薬の密売もしてるわね」


「なっ!? まるでマフィアじゃないですか!」


「そうね、王国のモットーは『非道はすれど盗みはせず』だからねー。でも、あまりにも目に余ったから、私は監獄を襲ってとらわれていた奴隷達を解放してやったの。ついでに獄吏ごくりと守っていた兵士達を皆殺しにしたわ。王国からしたら、大損害を与えた私は正に魔王ね、クスクス」


 女魔王は忍び笑いをもらす。悪戯いたずらをして喜んでいる子供のようだった。


 これを聞いたら、どっちが正義で悪かなんて決まっている。悪いのは王国だ!


 僕も人間爆弾にされたので恨みしかない。ただ、女魔王を巻き込む訳にはいかなかった。


 カウントダウンの終わりが近い……。


「あの魔王さん、転移魔法とやらは使えるんでしょ? 僕を今すぐ城の外か、宇宙にでも飛ばしてください」


「……ふーん、意外と優しいのね。私に気を遣うなんて」


「いえ、これは善意というより王や王女……そして、あのオッサンの言いなりになったまま、死にたくないだけです。最後くらい逆らってやりたい!」


「あなた、気に入ったわ!」


 魔王は笑みを浮かべ、ある提案をしてくる。


 僕がうなずいた瞬間、カウントは0になり大爆発が起こる。


 一瞬で体はちりぢりになり、僕は死んだ…………。



「……ちっ! 派手に爆発したわりには、魔王を倒せてねーな、使えないクズめ! まあいい、すぐに代わりの奴を転生させて…………!」


「やあ、オッサン」


「お、お前! たった今死んだはず! いや、なんでここに戻ってこれた!?」


「うん、僕は死んだよ。肉体は爆散して何処どこにもない。この身体は借り物、あんたにお返しする時間を魔王にもらったのさ!」


「はっ、笑わせるな! ウジ虫ごときが俺様を倒すだと? もう一回殺してやる! くらえ、超必殺メガトンウルトラスーパーハイパーデラックスアルティメットギャラクティカマグナムファントムテリオスぱーんち!」


 おっさんは長ったらしい技名を叫び、普通に殴りかかってくる。


 僕は避けようとはせず、パンチは顔面に命中した。ただ――


「ぎゃああああああああああああああああああ!」


 叫び声を上げたのはおっさんである。右腕がガラスのように粉々に砕け散っていた。


 いつのまにか僕の姿は女魔王になっている。


 それを見たおっさんは、痛みも忘れて目を見開いて驚いていた。


「そのお顔は! そんな馬鹿な! もしや貴女様はあの――――!」


「おっと、おしゃべりはそこまでよ。余計なことは言わないで、もう終わりにしてあげる!」


「がっ…………」


 女魔王が右腕を振るったとたん、おっさんの身体は綺麗に輪切りにされる。


 そのまま石化して下に崩れ落ち、塵になって消えた。


「……終わったか、実にあっけないものだ。でもスッキリした! ざまーみろ!」


 爆弾が爆発する直前、僕は女魔王と契約して魂と記憶を渡したのだ。


 今は女魔王の体を借りていて、意識がある状態である。


 オッサンに復讐は果たしたので、もう心残りはない。あとは消えるだけだろう。


 最後に女魔王と僕は心の中で話す。



「いまさらだけど、コイツ神だったの?」


「そうよ、一番下っ端だけどね。神であることに間違いはないわ」


「こんなゲス野郎が!? 上位の神もいるわけだよね? そいつらは何もしないの?」


「ええ、神を罰する神はいないわ。大いなる慈悲というやつで、主神すら見て見ぬふりをしてるのよ」


「許せない! 僕たちは不条理にイジメられるために生まれたわけじゃない!」


 僕がいきどおると女魔王は言った。


「……なら、そんな神を殺せばいいわ。そうすれば、理不尽な目パワハラう転生者はいなくなるでしょう。もし覚悟があるなら私が力を貸すわ」


「…………あ」


 ここで前世の記憶がよみがえってきた。


 物心ついた時には学校と塾に入れられ、勉強の毎日。遊んだ記憶がない。


 受験と就活に失敗し、ブラック企業に入るしかなかった。そして過労死……。


 何のために生まれてきたのか!? こんな人生を僕は望んだわけじゃない!


 人を勝手に腐った世の中に放り込んだ、神が悪いのだ!


 そして人は、否応なしに「社会の奴隷」にされてしまう。ディストピアだ。


 異常な世界から逃げることは許されず、自由などない!


 ただただ、怒りがこみ上げてくる。僕は決断した。


「いいの? なら僕はやるよ!」


「取引成立ね」


「……ところで、君は何者なんだい? 本当は魔王じゃないんだろ?」


「はてさてな? 時がきたら教えてあげるわ」


「分かった。今はそれでいい……僕は神を殺す!」



 ――ここに「神殺しゴッド・スレイヤー」が爆誕した。



「悪神殺すべし! 一匹残らず駆逐してやる!!」

 

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60行勇者 夢野楽人 @syohachi

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