◉今僕にできる事

かばんちゃんがビャッコのオーブを拾って石板にはめると、オーブが輝き始めた。そして火口がフィルターで覆われ、火山活動が鎮静化した。


そこで、試しにアライさんが力を込めてみたが、相変わらず野生解放はできなかった。どうやら原因は他にあるようだ。

考えていても始まらない。かばんちゃん達は、とにかくここを離れる事にした。アライさんは倒れているラッキービーストを背負うと、みんなと一緒にジャパリバスに乗り込んだ。


アライさん「ボス、もう大丈夫なのだ、しっかりするのだ。」


かばんちゃん「さて、どこに行こう…。ゆっくり休めて、パークの異変の原因も調べられそうな場所…、そうだ!

ラッキーさん、ジャングルで見つけた建物に向かってください!」


ラッキーさん「ワカッタ、マカセテ。」


アライさん「ジャングル…?ああ!あの白くてでっかくて、ひろーい壁に囲まれたとこに行くのか?」


かばんちゃん「はい。あの時はちょっと中を見ただけで通り過ぎましたが、あそこなら安全そうですし、ヒトが残していった資料なんかも沢山あったので、なにか分かるかもしれません。」


フェネック「なるほどね〜。あそこなら、私たちが思いつかない事も分かるかもだね〜。」


こうしてかばんちゃん達を乗せたバスは、ジャングルの研究所へと向かった。

しばらくして、サーバルキャットは目を覚ました。その子は目をパチクリさせながらかばんちゃん達を見たあと、特に怯える事もなくおとなしくしていた。


バスに揺られていると、やがて厚い壁に囲まれた研究所に到着した。そしてバスはガレージに入っていった。するとそこには一台のオフロードカーが止まっていた。


ラッキーさん「コレモ運転デキルヨ。コノアタリノ荒レタ道ヲ走ルノニ便利ダヨ。」


玄関から入ったところには、何やら機械が置かれていた。丸い窪みのついたプレートが並べられていて、それらの前には何かを引っ掛けておくような台座がある。

ラッキーさん「コレデラッキービーストノ修理ガデキルヨ。」


そこでアライさんは、ラッキーさんの指示通り、背負っていたラッキービーストの体を窪みにはめ込み、本体を台座に乗せて休ませた。


この施設には電気が通っていて、ヒトが残していった資料や機材がたくさんあった。それだけでなく、キッチンやお風呂場、寝室など、生活に必要なものは一通り揃っていた。


緑色の絨毯が敷かれ、白くて丸い椅子とテーブルが置かれた居間で、かばんちゃん達は一休みした。


かばんちゃん「僕はここで、ラッキーさんに手伝ってもらいながらパークの異変の解決方法を調べます。おふたりはどうされますか?」


アライさん「アライさんもかばんさんを手伝うのだ!」


フェネック「けどさー、私たち字が読めないから、ここにいても多分力になれないんだよね〜。だからさー、パークを回って、様子を見てきたり噂を集めたりしてくるよー。ちょくちょくここにも寄るから、手が必要だったら教えてよー。」


かばんちゃん「分かりました。じゃあ緊急時には、ラッキーさん、お願いします。」


ラッキーさん「ワカッタ。ソノ時ハ、ボクガ2人ノ近クニイルラッキービーストニ連絡シテ伝エルヨ。」


すると開いた窓から、博士と助手が音もなく入ってきて、テーブルに舞い降りた。


かばんちゃん「ふえぇっ、なんでここに⁉︎」


博士「ラッキービーストに聞いたのです。かばんが困っていると。」


助手「だから飛んできたのです。頭を使う作業なら、我々に任せるのです。」


かばんちゃん「あ…、ありがとうございます!」


すると2人はこう呟いた。

博士「かばんと一緒という事はですよ…、じゅるり。」

助手「料理が食べ放題、という事なのです、じゅるり。」

フェネック『あ〜…、なるほどねぇ。』


こうしてかばんちゃんは、ここでみんなと一緒にパークの異変解決の糸口を探る事となった。

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