◉襲撃

一方全てを出し尽くした2人は、並んで大の字に寝っ転がっていた。

チーター「ハアハア…、ま、ざっとこんなモノよ…。」


プロング「フウフウ…、チーター、今日は完敗だ…、だが明日の私は、今日よりも一歩速くなるぞ!」


チーター「なら私は、二歩速くなってやるわ!」


プロング「そいつは楽しみだ…、フフフ…、ハハハハッ。」


チーター「アハハハハッ!」


そして互いに手を伸ばすと、拳の先をコツンとぶっつけ合った。


ゴゴゴゴゴッ!

すると突然、何か大きなものが、凄いスピードで近づいてくる音がした。2人がそちらを見ると、地面を削りながらトラクター型セルリアンが迫ってきていた。まるで巨大なヘッドランプのような一つ目が、2人を睨みつけている。


しかし今の2人には、あれから逃れるだけの体力が残されていなかった。いくら踏ん張っても、全く足が動かない。

チーター「セルリアンっ…⁉︎このままじゃ潰される…!」

プロング「ぐくっ…!」


するとセルリアンから声がした。一つ目の上に、緑色の小さなセルリアンが乗っかっている。

緑セルリアン「待ってたゼェ…へたばる時をよぉ〜!」


プロング「この声はっ…!あいつ、消えてなかったのか⁉︎」


緑セルリアン「このボクをコケにしやがってぇ〜!取り込むなんて生ぬるい、ぐしゃぐしゃのペシャンコにしてやるゼェ!今度は仲良くかけっこしながら、あの世へ行くんだなぁぁ〜!」


するとそこへサーバルが駆け込んできた。そしてトラクター型の運転席に飛び込むと、ハンドルを殴りつけ、思い切り右に切った。それにより、それまで直進してきたトラクター型が右に外れ、左側の車輪が浮き上がった。


緑セルリアン「ぬぁにぃぃぃぃっ⁉︎」

轟音を立てながら、巨大なタイヤが倒れている2人の頭スレスレを通過していった。


そしてキュルルの運転するスタッフカーが、猛スピードで突っ込んできた。

腕ラッキー「キケン、キケン!」

キュルル「いいからあいつまで誘導して!」


ドッカァァァン!

緑セルリアン「うわぁああああ〜‼︎」

スタッフカーがトラクター型の左側に激しく衝突した。車は横転し、トラクター型はものの見事にひっくり返った。そして裏側の面にあった石が露わになった。


そして上空から、カラカルを抱えたロードランナーが石めがけて急降下してきた。

G「決めてくれ!誰かを抱えて飛ぶのはこれが限界なんだっ…!」

カラカル「言われるまでもないわっ!」


カラカルは爪にありったけの力を込めると、十分石を引きつけてから、思いっきり振り下ろした。また運転席から飛び出したサーバルも、カラカルと同時に爪を叩き込んだ。

サーバル&カラカル「「サバンナX(クロス)ッ‼︎」」


激しいX字の輝きと共に石が砕け、トラクター型が木っ端微塵に弾け飛んだ。そして緑セルリアンは、またもや吹き飛ばされてしまった。

緑セルリアン「くっそ〜!だがもうすぐだ…、もうすぐお前らは地獄を見ることになる!せいぜいそれまで楽しんでおくんだなぁぁ〜…」


誰にも聞こえない捨て台詞を残して、緑セルリアンはどこかへ飛んでいった。


横転したスタッフカーの運転席から、キュルルはなんとか這い出した。

キュルル「いたたたた…。みんな、大丈夫?」


しかしそれに応えられるものはいなかった。みんなくたびれ果て、仲良く気絶してしまったのだ。

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