◉焼け焦げた大きな背中

真っ暗だった世界に、急に光が差した。

かばん「う…、う〜ん…。」


かばんさんは、木漏れ日が降り注ぐジャングルの中で目を覚ました。ぼんやりした視界が、しだいにはっきりと像を結んでゆく。


そして右腕で光を遮ると、ラッキーさんが大喜びした。

ラッキーさん「カバン⁉︎目ガ覚メタンダネ!ヨカッタ!ホントニヨカッタ‼︎」


かばん『生きてる…?そうだ、あの時…!』


爆発の瞬間…、誰かがものすごい速さで飛び込んできて、バス型セルリアンに爪を見舞った。そしてかばんさんを抱き抱えながら車から飛び出し、爆発から守ってくれたのだ。


しかし凄まじい衝撃で、2人は空高く舞い上げられ、かばんさんは意識を失った。そして、気がついたら研究所から遠く離れたジャングルまで飛ばされてしまっていたのだ。


するとかばんさんの隣から、荒い息遣いが聞こえてきた。そちらを見ると、ぼろぼろになったビーストがうつ伏せに倒れていた。彼女は気を失っていて、背中が焦げ、毛皮がズタズタになっている。


かばんさん「ビースト⁉︎私を助けてくれたんだね、ありがとう…。

‼︎…ひどいケガ、待ってて。」


かばんさんは携帯していたサンドスターのビンを取り出すと、中身をビーストに振りかけた。するとビーストの体がぼんやりと輝き、背中の火傷が小さくなってゆく。

かばん「これじゃ足りない…。彼女の消耗も激しいし、なんとか研究所まで連れていって休ませないとっ…イタタ。」


改めて自分の体を見てみると、いたるところが擦りむけたり火傷したりしている。が、なんとか動くことはできそうだ。かばんさんは意識のないビーストの体を支えながら、研究所に向かって歩き出した。


しばらく歩いてゆくと、ラッキーさんがこう言った。

ラッキー「上空カラ近ヅイテクルふれんずガイルヨ。」


見上げると、かばんさんを捜索していた助手が舞い降りてきた。そして泣きベソをかきながらかばんさんに抱きついてきた。

助手「かばぁぁぁん!よがっだ、心配(じんばい)じだのでずよぉぉ‼︎」


大泣きしている助手の頭を、かばんさんは優しく撫でた。

かばん「ごめんねミミちゃん。安心して、私は大丈夫。それよりこの子が大変なんだ!」


助手「ビースト⁉︎お前がかばんを助けてくれたのですか⁉︎」


助手はすぐさま博士を呼んできた。そして助手がかばんさんを、博士がビーストを抱き抱えて研究所へと急いだ。こうして2人は、なんとか研究所にたどり着く事ができた。

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