◉憧れと希望を胸に
センザンコウ「アルマーさん、しっかりしてください!」
センザンコウは、瓦礫に足を挟まれて動けなくなったアルマジロをなんとか引っ張り出そうとしていた。あれからセルリアンは建物を破壊すると、2人に目もくれずどこかへ行ってしまったのだ。
アルマジロ「センちゃん、私の事はいいから早く逃げて…。」
センザンコウ「なに言ってるんです、そんな事できるわけないじゃないですか!」
すると2人の頭上から、大きな瓦礫が降ってきた。
センザンコウ「あっ、アルマーさんっ…‼︎」
センザンコウは、とっさにアルマジロに覆い被さった。
ズンッ!
瓦礫が2人を押し潰した。が…、
ピシッ!ドガァァン‼︎
大きくヒビが入ったかと思うと、勢いよく弾け飛んだ。押し潰されたはずの2人の体は、輝きに包まれていた。
アルマジロ「センちゃん、センちゃん!」
アルマジロの声がして、センザンコウは顔を上げた。
センザンコウ「アルマーさん…、ここは天国ですか…?」
アルマジロ「違うよ、しっかりして!助かったんだよ、私達!」
センザンコウはその言葉を噛み締めた。
センザンコウ「生きてる…、はっ!アルマーさん、体は大丈夫なんですか⁉︎」
アルマジロ「うん!なんだか急に元気が出てきたんだ!私達2人にかかれば、あんな瓦礫なんてなんでもないよ!」
センザンコウ「よかったぁ、アルマーさ〜ん!」
アルマジロ「センちゃ〜ん、ありがとう〜!」
そうして2人は、瓦礫の中で泣きながら抱き合った。
モノレールはレールの上を滑るように進んでゆく。キュルル達は座席に腰掛け、一息ついた。すると車内にアナウンスが響き渡った。
ラッキービースト「次ハ、アヅアエンマエ、アヅアエンマエ。」
キュルル「あの運転席にいる、水色の小さい子は誰なの?」
サーバル「ラッキービーストだよ。私はラッキーさんって呼んでるんだ。」
カラカル「中にはボスって呼ぶ子もいるわ。それにしても喋れたのね、声を聞いたの初めて。」
キュルル「カラカル達が知らない事も、すぐそばにたくさんあるんだね。そういえばあの2人、大丈夫かな。」
カラカル「ヌシはいなくなったし、取り込まれたようにも見えなかったから、きっと大丈夫よ。」
サーバル「それにしてもあの子…、ビースト、見ず知らずの私達を助けてくれたんだよね、今度会ったらちゃんとお礼を言いたいな。」
カラカル「でもよく見えなかったから、どんな姿か分からないのよね。」
キュルル「それなら、きっと…。」
そう言ってキュルルは、興奮気味にスケッチブックをめくると、目をキラキラさせながら最後のページの絵を2人に見せた。そこにはオレンジ色のトラのフレンズが描かれていた。
キュルル「この子だよ!」
こうしてキュルルはサバンナを出た。
おうち探し、自分は何者で何ができるのか、ジャングルにいるというヒト…、旅に出なければ決して答えにたどり着けないものばかりだ。この先どうなるかを考えると正直不安もあったが、隣にはカラカルとサーバルというかけがえのないお友達がいて、これから向かう先のどこかには、憧れのビーストがいる。そんな大きな希望を胸に、キュルルは次のちほーへと向かうのだった。
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