◉探偵コンビ

カラカル『サバンナX(クロス)って名前も、この子が考えてくれたのよね。あたし達の事を大切に思ってくれるのは嬉しいし、ビーストに夢中になるのも仕方ないけど、もうちょっとあたしを見てくんないかな、はぁ…。』


そんな事を考えているうちに、建物に到着した。

その中には、オレンジ色の帽子を被り、硬い毛皮に覆われた2人のフレンズ…、オオセンザンコウとオオアルマジロがいた。アルマジロは横になっていて、その隣でセンザンコウが心配そうに見守っていた。


昨日サバンナを歩いていたら、たまたまこの2人に出会ったのだ。声をかけてみると、2人は探偵なのだという。しかし1週間ほど前からアルマジロの元気がなくなって困っているというので、ここで休んでもらったのだ。


3人が帰ってきた事に気づいて、センザンコウは顔を上げた。

センザンコウ「おかえりなさい!」


サーバル「たっだいまー!2人とも、ご飯持ってきたから一緒に食べよっ!」


そう言うとサーバルは、センザンコウにジャパリまんを2つ手渡した。


センザンコウ「すみません…。ほらアルマーさん、ご飯ですよ。」


するとアルマジロが目を覚ました。

アルマジロ「う〜ん…。ありがとうセンちゃん。…ん?あ、みんな帰ってきてたんだ、おかえりなさい。」


そしてみんなで床に座ってジャパリまんを食べながら話をした。


センザンコウ「そんな形の大きなセルリアンが…?」


サーバル「うん!でも3人で力を合わせてやっつけたよ!」


カラカル「体調は昨日と比べてどうなの?」


アルマジロ「う〜ん、体の重さはあんまり変わらないな〜。」


キュルル「風邪でもなさそうだし、なんなんだろう?」


ご飯を食べ終えると、センザンコウとアルマジロが改まった態度で話しだした。

センザンコウ「みなさんのいない間に2人で話し合ったのですが…、やはり別のちほーに行こうと思います、私達。」


サーバル「でも…、せめて元気になるまでこうしてたら?」


アルマジロ「こんな危ない所で、いつまでもみんなに迷惑をかけるわけにはいかないよ。それにもともと引っ越すつもりだったんだ。大丈夫、普通に歩いたりはできるから。」


カラカル「どこかあてはあるの?」


センザンコウ「探偵としてパーク中を回ってましたから、過ごしやすい場所はいくつか知っています。今どうなっているかは分かりませんが、ここでじっとしているよりは安全なのではないかと。」


キュルル「そっか、じゃあ…。」


そう言うと、キュルルはショルダーバッグからスケッチブックとペンを取り出すと、サラサラと絵を描き始めた。


これは誰に教わったものでもない、キュルルだけの特別な力だった。頭の中のイメージを、いろんなペンを使って紙に描いてゆく。そしてセンザンコウ達とキュルル達が、サバンナで楽しそうに遊んでいる絵が出来上がった。


キュルル「これ、あげるね!」


アルマジロ「きれーい!」


センザンコウ「いいんですか?ありがとうございます!」


キュルル「うん、記念に。それと…、ね、2人とも?」


キュルルに促され、カラカルとサーバルが頷いた。


カラカル「あたし達も一緒に行くわ。」


センザンコウ「そんな…、気を使わなくても。」


サーバル「私たちもそのうち旅に出ようって話してたんだ。ここは危ないし、なんかキュルルちゃんのおうちも無いみたいだしね。それにみんなで行けば、なにがあっても大丈夫だよ!」


こうしてみんな一緒に旅立つ事となった。

さらにキュルルにはもう一つ、ビーストに会いたい!という理由があった。その子がヌシを倒してくれるという思いと憧れの他に、これだけ噂になっているのに正体の分からないフレンズをスケッチしてみたい、と考えていた。


そして一休みした後、みんなで建物を出た。しかしキュルルは重い扉に手をかけたまま、しばらくじっと建物を見ていた。


カラカル「キュルル〜、何してんのよ〜。」

サーバル「早く行こーよー!」

キュルル「わわっ、今行くよっ!」


そして心の中で『行ってきます!』を言うと、扉をしっかりと閉めた。

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