第三話 高校入学
春が訪れ春休みが終わり少し寂しさを感じる。
この門を潜ったら彼女はできるだろうか?
そう疑問に思いながら職員室へと向かう。
「君が新井君かね。私はここの校長をしているんだが。」
「そうですか」
「うむ。では君に聞きたい。君は野球を続ける気はあるかね?」
何を聞いているのだろうか。このおじさんは。
「いややりませんよ。」
「やっぱりそうかね。君の推薦書なんだが」
校長が手に取ったのは俺の推薦書なんだが。。あれ?なんかスポーツ推薦って。。
「普通なら君は退学なんだが。まぁ甥っ子が中学のとき君とバッテリーを組んでいたみたいでね。甥っ子から説得されたから退学はないが。君にお願いがある」
「お願いですか。。」
「あぁやはりスポーツ推薦で入学したんだ。すでに監督の方にも知れ渡っとる。
だから放課後部活練習に参加して試合がある日はグラウンドに行って活動したという記録を残して欲しい」
えぇー。。
野球をしても意味はない。彼女はできない。
そんな事実を知っていた彼は絶望した。
「そういうことだからよろしく頼む」
うわー。放課後は未だに使えていない農業用地を開墾しようと思っていたのに。
うわー。せっかく大学の教授に土下座して遺伝子組み換えに協力してもらった農作物を育てようと思ったのに。
うわー。スーパーとかに農作物の営業をしに行こうと思っていたのに。
今月の生活費結構やばいんだよ。特に霊子も中学に上がったしみなみ、みなこも今年から小学生だ。ランドセルとか給食費に鉛筆等々の筆記用具それから中学の制服、指定カバン、シューズ、体操服、それから中学は部活強制で部費や部活に使う道具、ユニフォーム、シューズ、そして俺の高校は私立だから学費、農業科受講費etc等々を支払った。
まぁ未だに親の保険金に手を付けてない。
本当に困ったときはそれを使う。まぁ使うときはないと思うが。
ていうか俺暇がないな。
こんなんで彼女なんかできんのか?
ただでさえ放課後つぶされて帰った後農作物の確認してスーパーやらに納品して空いた時間は他所に営業。
休日になると開墾作業と品種改良した農作物の種や苗を育て管理する準備をする。
そして虫が付かないように農薬を撒くために農薬管理指導士と連絡を取り
昔お世話になったプロ野球球団ジュニアチームの特別コーチの仕事をしたり。
休みが全くないな。
新井博樹の青春に一つまた一つと影が落ちた。
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