第19話 薔薇の妖精

薔薇の精は彼らが彼女の衣服を盗んだ、と激しく非難し、勇敢にもその財産を守ろうとした。

「あんたは薔薇の葉っぱの半分だって着れやしないじゃないか」と何人かが言うと、

「よけいなお世話!! あたしはあんたたちに葉っぱは渡さない、これはあたしのモノよ!!」

「すべては共益のためなのさあ!!」ひとりが言い、凹みのある大葉を抱えて逃げ去った。しかし薔薇の精は彼に後ろから跳びかかり、(彼女のなんと美しかったことか! まあ少々『応接間の貴婦人』風が鼻につくが)一回転しながら踵で逃げる彼を蹴とばして、彼女の大きな紅い葉を取り戻した。けれどもその間に20人もの妖精がちょうど同じくらい良い葉っぱを持ってあらゆる方角に走り去ってしまった。するとこのちっちゃな生きものは座り込み、泣き出した。それから、彼女の樹のお気に入りから、完璧なピンクのスノーストームの花びらを選び、枝から枝へと跳び移り、地団駄踏んだ。枝を揺らし、引っ張り、とうとうまたもう一度からりと泣き声を上げた後、バラの精はひときわ大きな葉っぱを選ぶと、笑いながら駆けてゆき、他の妖精たちの中へと彼女の舟を浮かばせたのだった。

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