第13話 古しえの書
そんなわけで僕は腰を下ろし、それに少々疲れを覚え、さらに話しを続けるには気が乗らなかったので、まだ窓を遮っている、件の古い本を見てもよいだろうかと頼んだ。婦人はすぐにその本を僕の元に持ってきてくれたが、それを取る前にもう一度森へと目を遣り、それから白いブラインドを引いて窓に被せた。僕は窓の反対側にあるテーブルに座り、大きな古書を広げ、読んだ。本にはたくさんの妖精国のふしぎな物語、そして古い、旧い時代の、アーサー王と円卓の騎士たちの伝承が記されていた。僕は読み、また読んで、昼下りの影が深くなり始めた。というのも森の真ん中では、開けた地より日暮れは早くなるからだ。ついに僕は以下のような一節へと辿りついた………
そこで偶然にも、彼らの探索の途上において、サー・ガラハドとサー・パーシヴァルは広大な樹海の深部にて相まみえた。今、サー・ガラハドの磨き込まれたハーネスは明晰な輝きを放ち、見るも鮮やかな光輝を帯びていたが、きわめて汚れ易く、その明晰な輝きを保つには、従者の手入れが欠かせぬ一品だ。そして従者や側仕えの影もなしに、サー・ガラハドの甲冑は月のごとき光輝を放っていた! また彼は立派な白毛の牝馬に跨り、その馬体と馬飾りは漆黒たが、すべてに艷やかな銀の百合の花か散りばめられていた。
一方のサー・パーシヴァルは黄褐色のたてがみと尾を持つ紅馬にまたがり、その馬の装飾はすべてぬかるみと泥に汚れていた。また彼の甲冑は、いかなる匠の手をもってしても再びその輝きを取り戻させることはかなわぬほどに、驚くほど錆びでびっしり覆われていた!!
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