第4話 女王の教え

「ハッ! そいつがお前さんら大人たちいつものやり口さ、お前さん方は最初なんにも信じない、で、そんなの信じられないと思うものを納得させるにゃ、ただ「繰り返す」以外にどうしようもないくらいばかなんだから! でもあたしゃお前と議論したいんじゃなくて、願いを叶えてやりにきたのさ」

ここで僕は彼女の言う「ばかな言葉」で彼女をさえぎらずにおられなかった、まあ、僕はまったく反省するいわれもないのだけれどーーー

「なんだって君みたいにそんなちっちゃい奴が、なにか叶えるとかゆるさないとかって言えるんだい?」

「そいつがこの21年間で得たお前の哲学とやらの全てかい?」彼女は言った。「かたちは大事さ、でも大きさなんてどうでもいい。そいつは単なる比較の問題だからね。6フィートもあるごりっぱなお前さんは少なくとも優に半フィートは大きいラルフ叔父さんの横に立って他の人たちの目から小さく見えても、自分のことを価値がないとか感じたりしないだろうってあたしゃ思うね。大きさは年よりのあたしにはまるで意味のないことだけどーーまあ、お前のばかな思い込みに合わせてあげようか」

そう言って彼女が机からひらりと跳んでフロアに降り立つと、そこには、真っ白な容貌で大きな蒼い瞳の、かがやくような長身の女性が立っていた。漆黒の髪は彼女の背中を波うちながらまっすぐ、腰元まで流れ落ち、白いローブを身にまとう立ち姿との対比をあざやかにした。

「これで」と彼女は言う。「おまえはあたしを信じてくれるだろうね」

今まさに気づいた美の存在に圧倒された僕は、理解することもあらがうこともできないその魅力によって、彼女の方に吸い寄せられた。思うに、僕は彼女に腕を伸ばそうとしたのだろう、というのも彼女が一、ニ歩あとずさってこう言ったからだーーー

「ばかな子! もしおまえがあたしに触れたら、あたしはおまえを傷つけなきゃならないんだよ。ところで、あたしはこの夏の聖ヨハネ祭で237歳になったんだよ、で、男は彼のお祖母さんと恋になんて落ちるもんじゃあない、そうだね?」

「でも君は僕のお祖母さんじゃない」と僕は言った。

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