第6話 驚愕!
仲間にしてほしい──
今度はどういう風の吹き回しだ?
魔王と聞いた瞬間にこれだからな、きっとなにかあるんだろうな。
「どうして仲間になりたいんだ?」
「私も一応、勇者だから…」
勇者だから──
まぁ、確かに道理な理由だが──
「ドラゴンしか倒せないのにどうするんだよ」
一瞬焦る表情を見せるが──
「少なくともドラゴンが相手なら役に立てる」
まぁ、確かにそうだ。正直、自分自身の強さがまだ分からない俺に仲間が必要だろう。
「じゃあ精々ドラゴンが来たら守ってくれよ」
「そ、それは仲間にさせてもらえるって事でいいんですよね?」
「あぁ──だが一つだけ条件がある──
俺の言うことは絶対だ必ず守れ」
フレデリカは少女漫画みたいな白目をしている──
今にも『恐ろしい子…!』なんてセリフが聞こえてきそうだ。
「おい、大丈夫か?」
「あぁぁ!!はい!あなたの言うことは絶対───ろくなことにならない気がしますが…」
「嫌ならいいんだぞ?」
「あなたも卑怯な人ですね──分かりました。あなたの言うことを守ります。それでいいですか?」
「あぁ!これからよろしく頼む」
「嬉しさはあるんですが何かもやもやします」
こうして、初めて仲間が加わったのだった。
食事を終えた俺たちはまた、大通りへとやって来ていた。
「フレデリカ、この辺に宿を借りれる所はないか?」
「そうですね、この辺だとあそことかですかね」
指の指す方向を見ると、いかにも高級そうな宿がある。
俺は今お金を持っていない──飲食店ではフレデリカからの奢りで食事ができたのだ。
「俺は今お金が無いんだ、今日中に稼げるお金で借りれる宿は無いのか?」
フレデリカは首を傾げる。
「お金なら私から出しますが──」
「だが、お前もそんなにお金を持っていないはず────」
俺はフレデリカの持つものに目を剥く──
フレデリカが持っていたのは大きな袋いっぱいに入っている大量の金貨だった。
「これ全部でいくらになるんだ?」
フレデリカは指を顎に当てて応える。
「そうですねぇ……あの宿を買い取れるぐらいの金額にはなるかと」
あの宿を買い取れるだと!?
俺が居た世界で言うア○ホテルみたいな感じだ。
「お前そんな大量の金貨、どっから取ってきたんだ?」
「これですか?ドラゴン討伐の報酬でもらった物ですが」
納得のいく回答だった、確かにドラゴンともなればそれぐらい普通だ。
「だが───本当にいいのか?お前の物なのに」
フレデリカは頭にクエスチョンマークを浮かべている。
「だって、私たちはもう仲間じゃないですか」
俺はこの世界に来てから初めて嬉しいと思ったかもしれない──正直、フレデリカからこんなセリフを聞けるとは思ってもみなかった。
俺は込み上げてくる嬉しさを表には出さずに──
「あぁ、そうだな」
とだけ応えた。
「元康さん、泊まるところはここら辺じゃないと駄目ですか?」
突然そう聞かれた俺は──
「いや、泊まれる所さえあればいいんだ」
と応えると、もじもじとしながら
「ここから少し遠いですが、私の家で泊まりませんか?お母さんの事も気になりますし…」
そう言い終わったフレデリカの顔が少し赤くなっていた。
その照れている姿とても可愛らしいしく見えて
もしかしたら──
フレデリカこそがヒロインなのかもしれないと思った瞬間であった。
そして、フレデリカの家に泊まることを承諾した俺はフレデリカの家へと向かっていた。
「元康さんありがとう──ございます。私のわがままに付き合ってくれて」
たまに見せる子供っぽさがフレデリカの本当の姿が見られたようで嬉しかった。
この娘をドラゴン以外のモンスターから守らなければいけないのは俺だ。早く自分の強さを引き出さなければ守れるものも守れなくなってしまう──
フレデリカの家に着き、彼女の母に軽く挨拶を済ませた後、借りた部屋に引きこもり、スキルの解放条件などを一人思案する。
何も思いつかず何となくステータス画面を確認していると、触って動かせる事に気づいた───
「(え?これ動かせんの?)」
スライドさせるとスキルの解放条件がズラリと並んでいた。
──今まで解放条件に悩んでいたのは何だったのか──
「──ッ──あのクソ女神め……」
強制転生の件、アイテムの件といい後でちゃんと仕返ししてやろうと改めて誓ったのである。神ではなく自分にだ──
──この日から俺は解放条件をクリアしていくこととなった──
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます