第5話 とりあえず攻撃スキル解放だよ!!

フレデリカから武器の事についての話を聞いたあと俺たちは王国の門の前までやって来ていた。


「ここがカロッツェなんちゃら王国か?」


「はい──ここが私の故郷であり、活動拠点のカロッツェリア王国です」


俺は初めて見る王国に興奮していた。

これがよく小説なんかで見る王国なのか…

いざ実物を見るとやっぱり迫力があるな……

初めての王国に圧倒されていた俺に


【攻撃スキルが使用可能になりました】


と目の前に表示された。


「(攻撃スキルの使用可能──どういうことだ?)」


俺のステータスに最初からあったスキルとはまた別のスキルなのか?……

自分のステータスを確認する。


「やっぱりスキルが別れてるな」


ステータス画面には『攻撃スキル』という項目が追加されている。

しかし──何故、今なんだ?このタイミングで『攻撃スキル』が解放された理由が分からない。

何かしらの条件をクリアしたのか──

あるいは進行度によって解放される仕組みなのか。

二つのどちらかなら、何かしらの条件をクリアしたと考える方が自然かもしれない。

だが進行度によってという可能性も充分にある訳だが今の状況で解放されるのは少し変だ。

もし進行度で解放されるなら何かしらのボスを倒してからではないか?あのドラゴンがボスだったとして倒したのは俺じゃない……

自分が倒さなくていいのか?──分からない。


「今後は二つの可能性を考えながら行動しないといけないな……」


今後の方針をしばらく思案していると──


「どうかされました?門の前にずっと立ってないで中に入ったらどうです?」


「あ、あぁ……」


フレデリカの言葉に促され門を開け王国へと入る。


「すごい賑やかな王国なんだなここは」


大道商人たちが露天商などをしており、大勢の人が行き交っていた。


「カロッツェリア王国は他の王国に比べて比較的大きな王国で最近はモンスターの活発化で近辺の村などから移住してくる人が増えているんです」


「それでこんなに人が居るって訳か…」


人以外にも亜人が多くいる──

耳のとんがりが特徴のエルフ──

獣のような耳や尻尾を生やしている獣人──

実に様々な種族が居る。


「ここは色んな種族が集まるんだな」


「はい──ですがこんなに種族が居るのはこの王国だけです。他の王国だと種族によって差別されてしまうので極端に種族が偏っているんです──最近は亜人国家が作られ亜人の差別がない王国もあるんですがかなり遠い場所で危険なため、あまり行く人が居なくて」


「そんなに遠いのか?亜人国家のある場所は」


「ここから行けば1年ぐらいはかかりますよ」


1年!?もう着いてる頃には死んでるんじゃないか?相当な体力と運が無ければ着くことは不可能に近いだろう。


「それは…大変だな」


しばらく王国の中を歩いていると──


グゥゥ───ここに来るまで何も食べて無かったから、お腹が空いてしまった。


「この辺の美味しい飲食店を知ってるんですが、よかったらどうです?」


「あ、あぁ──頼む」


大通りを抜けて細道へと入っていき──

『オムライス』と書かれている看板の前で立ち止まる。


「ここがお前の言う美味しい飲食店なのか?」


外見がかなり古くさくて少し心配になる。


「そうですが何かご不満でも?」


「い、いや不満は無いんだが外見が少し気になって」


「嫌なら嫌と言えばいいじゃないですか」


顔が怖いぞ顔が───

俺たちは結局店に入り料理を注文した(オムライスしか無かったが)。料理が来るまでフレデリカとこんな話をした。


「そういえばあなたのことについて何も分からないんですがどこの誰なんですか?私の事は先程紹介したので次はあなたが私に教えてください」


という感じで、自分の事を説明しなければいけない流れになっていた。

正直めんどくさいが説明しないとまたなんか言われそうだったから説明することにした。超簡単に。


「俺は武者 元康って言うんだ訳あって魔王を倒しに行かなくちゃいけない可哀想な勇者だ」


「え?───魔王?今魔王って言いました?」


「あ、あぁ…それがどうしたんだよ」


もしかして魔王って禁句だったり……

しないよな…しないよね?


「元康さんちょっといいですか───」


まずいまずいまずい!どうにか弁明をしなくては……


「私を仲間にしてほしいのです」


は?───










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