第14話
まずは荷物を下ろして上着を脱ぐ。
ミクルちゃんの見ている前だが、ズボンも下ろす。
どこかで聞いた話で、『服を着て泳ぐと水が服に
実際に試した事が無いから分からないが、用心に越した事は無い。
そして
これもどこかで聞いた話だ。
『
時間が無いので手早く、それでいて
これで
心の準備は、とっくに
「じゃあ、行って来る! 必ず連れて戻って来る‼」
「うん! お願い、お兄ちゃん!」
橋の
大きな
まず、最初に感じたのは、高所からの飛び込みの衝撃や寒さより、
口の中に入った水が冷た過ぎて
これは予想外の展開だ。
続いて、
これは心が
だけど‼
「なろうッ‼ この
大きく叫んでから深く息を吸い込み、水の中を
一番早い泳ぎ方と言われるスタンダード!
自分でも驚く程のスピードで目標に進んで行く!
「ガンバレ! お兄ちゃん‼」
ミクルちゃんの
ハッ! コレで元気が出なくて、男の子かってんだ‼
目標まで、あと二十メートル弱!
コレなら行ける‼
大きなストロークと全力のキックで、目標まで、あと、五、四、三、二、……。
「
左手に
よし、後は戻るだけ……。
そこで気付く……。
出発点は橋の上だったが、ゴールは岸だという事に……。
現在地は海中のド真ん中。
橋の下の海とはいえ、海の上にある『海と共に暮らすモデル都市』という売り込みの水上都市である
その上、この
仮にもし橋を通る誰かが他に
だから、この橋の左右の橋の入り口に面していて
その上、出発地点が橋の中央だったせいで、左右どっちの岸もかなり遠い。
岸に上がる
「クッ! だけど
覚悟を決めて進路を左に取る。
左右どっちも余り変わらないが、こっちの進路の方が
左手に犬を抱えたままだから右手でしか水を
その
しかも左手が重い!
犬は小型犬で数キロくらいの重さだろうけど、水の中で抱えるというのは、その数倍の重さの
この犬も、
岸までは、
「お兄ちゃん! もう少し! もう少しだよ‼」
ミクルちゃんが橋を移動しながら声援を掛けてくれる。
クッ…この
ミクルちゃんのお兄ちゃんなんだからよッ! このオレはッッ‼
気合を入れ直して速度を速める。
だが、体力も限界で、
もう少し……。
あと一〇〇メートル……。
五〇……二五……。
「うおらァーーッ‼」
最後の気合で速度を
渾身(こんしん)のキックで岸までの距離を一気に
「だっしゃァーーーッ‼」
今、ゴールインッッ‼
「ハァ…ハァ…ハァ……。」
犬の方も、やっと地面を
コイツ、やっぱり右足を
泳いでいる時は確認する余裕が無かったが、コイツも良くガンバったもんだ。
「お兄ちゃん! スゴイ! スゴイよ‼」
そこでミクルちゃんが
ちょっと目が赤くなっている。
どうやら応援の途中で少し泣いちゃったみたいだな。
ハハ、そこまで応援してもらえたんだからさっきの
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