06
彼から、手渡されたものがある。
海外へ行く手続きを全て終わらせたら、開けてくれと言われた。
どうしようもなくて、そのまま、海外へ行く手続きを全て終わらせた。あとは、飛行機に乗るだけ。
でも。
飛行機に乗らなければ、それで終わり。彼とのこれまでの生活を守れる。
歌が、唄えなくても。彼がいれば。わたしは、幸せかもしれない。でも、思うまま、心が感じるままに唄えたら、それは素晴らしいことだった。喋れない自分にとって、声を出して唄うことは、何よりも代えがたい気分がある。心の中にある熱いものを、そのまま表現できる唯一の手段。
彼。
駅前のプラネタリウム前で会って以降、学校に姿を見せなかった。連絡しても、生返事ばかり。電話は通じない。
そして。
飛行機に乗る日が来た。
思いきって。
四角い箱を、開けてみる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます