4
朝だ。誰かに声をかけられたわけでもない。
自然になぜか、この時間に目が覚めてしまったのだ。
大きく伸びをし、お腹をさする。空腹感は感じない。
(そういえば、昨日から一度も食べてないのに)
不思議に思いつつ、ドアを開けるとそこにはエヴァが昨日のまま立っていた。
「陛下、おはようございます」
ああ、とうなずき立ち去ろうとして動きが止まる。
彼女はいつからここにいた?
昨日からずっと?なぜ?
自分が守るように命じたから?
後ろをゆっくりと振り向くと、付いてこようとしていたエヴァと目があった。
恐る恐る、確認をとる。
「エヴァ、昨日は寝たか?」
「とんでもありません!」
エヴァは憤慨したように答えた。
「えー休んでないの?いいよ、このまま休んで・・・」
と王らしからぬ言葉を発するのをぐっと堪える。
(威厳!威厳をもって言わなきゃ。交代要員は誰がいるかな?)
「では、下がって休め。クラウスと交代だ」
「はっ!」
どこからともなく現れたクラウスがエヴァと交代したあと、
ジンは玉座の間に向かう。
玉座の間には昨日と同じメンバーがそのままいた。
(マジかよ・・・)
一瞬頭を抱えそうになるもなんとか持ち直し、椅子に座る。
すると、犬耳獣人のカティナが近づいてきた。
「陛下、本日のご命令をください」
(なんだこれ、どうしろっていうんだ。そもそもカティナがなんで
宰相の位置に?)
獣人のカティナは戦闘要員で内政力はそこまで高くない。よく見ると周りのほとんどが戦闘要員ばかりである。なぜと思う前に答えは思い出した。
昨日、自分がやったことに。
(色々言うこともあるがまずは人員を正常に入れ替えなくては)
ハーレム体制だった配置を通常の配置に戻していく。
キャラクターリストから配置するたびに、どこからともなく現れたキャラが
今の人員と交代していく様は不思議な光景だった。
おおむね、正常に戻ったところでジンは口を開く。
「今日は、皆に言いたいことがある。未開の地で領土を広げつつある我らだが今はそんなことより大事なことがある。お前たちだ。国民は替えが効くがお前たちは替えられない。つまり、自分を大事にするんだ。そして、やるべきことをしろ。命令がなければ自由に生活しろ。あるいは兵舎で待機しているんだ。時として、判断する場合もあるかもしれない。もちろん、重要な判断は私がする。だが、些末な判断は自分で考え下すんだ。国のために私のために、なにが最優先で最善かをだ。
まずは、ヘロルド!」
「はっ!」
宰相に任命したエルフに声をかけ、大まかな、国の方向を伝える。
「あとは任せても大丈夫だな?」
「お任せください、陛下。十全に理解しております。」
「よろしい、では頼む。私は自室に向かう」
「はい」
(これであとは放っておいても大丈夫だろう、たぶん。賭けだが、俺の頭の悪さをキャラ達能力でカバーしてもらおう。建築と戦争だけならいいんだけど、ゲーム内は内政とか実際キャラ任せだったし)
こうして、ジンは政治とかめんどくさそうなことを優秀であろうキャラ達に
放り投げると、玉座の間を出て、自室に戻り再び建築に勤しむことにした。
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