その34 最後の一杯

                       

頭を撫で

背中を撫で

眉間を押して

毛むくじゃらの顔に

唇を押しつけると

お前はゴロンと横になった

腹を見せて


ピンク色の地肌が透ける

無防備に開かれた

小さな腹に

俺は怯える


今は優しい俺だが


飲めば飲むほど

優しくなれればいいのだが


この辺でやめておこう

俺の中の

凹まされた部分が

耐え切れず

叫(おら)びだす前に


俺たちが生きている社会では

酔った奴は凶暴になる

優しくなる代わりに


これが最後の一杯

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る