その2 黄昏・春・山中のレストラン


日が沈みゆく頃

レストランのレジに

一人居る僕は

世界から切り離されて

寄る辺なく水に浮く

孤独な蟻の様だった


それで

世界の明るい広やかな空気を吸おうと

戸を開けて外に出れば

黄昏の果敢はかなげな光に

滲んでいる石垣と樹々

その前を薄桃色に

桜の花が散っているのだ


僕は伸びをしながら

あなたの事を心に浮かべる

すると心は少し微笑む


遠くにいる人

どうなるのだろう

僕とあなたは

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