十一

ーーあなた、それ嘘よね!?嘘でしょう!ーー

ーー嘘なものか!俺はお前と真琴の事を思って……ーー


なんだ、これ。


ーーすまん!でもさ、俺お前が一番だから!嘘なんかじゃねえよ!ーー

ーーあいつとは遊びだったんだよ!俺にはお前しかいなんだ、本当だって……ーー


ああ。なんだ、これは夢か。

それも、多分悪夢ってやつだ。


思えば、私は昔から周りに嘘ばっかり吐かれて育ってきたなあ。嫌になるくらい嘘を吐かれて、それを信じて、騙されて。だから、必然的に嘘を嫌うようになったんだった。誰かを信じたい、その一心で嘘を憎んだんだ。


でも、その中でも、ゆいだけは違った。

彼女は嘘なんて絶対に吐かない。自分にだって、もちろん私にだって。だから私はそんな彼女を信頼し、友人として本当に大切にしてきたつもりだ。


でも今日、そのゆいが嘘を吐いた。そして、私は嘘の塊だとも言った。信じられなかった。裏切られたんだ、と思うと胸が苦しくて、張り裂けそうだった。

そして夜鷹には、私は嘘のことばっかり執着しているから、真実の本質が見えないんだとも言われた。

実に皮肉だよね、嘘を嫌っていた人間が、真実から遠く離れていたんだから。

あれ……?

すると私は、一体何だったんだ?

嘘を嫌い、でも真実からは程遠い。


私は、嘘でもなく、真実でもなく。

一体何を信じていたんだ……?



全身の嫌な寝汗と共に、目が覚めた。部屋の窓の外は真っ暗で、どうやら夜になっていたらしい。ゆいの目覚まし時計は、夜中の二時過ぎを指していた。


こうして私の悪夢は終わり、隣で寝ているはずのゆいに聞こえないようにと気をつけて小さく嗚咽を漏らし、溢れてくる感情をただただ涙に変えた。

そして散々泣いたあと、悪夢が終わったことを安堵し、明日になったら感情的になってしまったことをゆいに謝ろうと思った。


しかし、この時私は二つの勘違いをしていたことを後に知ることになる。


一つは、この村の惨劇はまだ終わっていなかったこと。

一つは、私の悪夢がまだ終わっていなかったこと。

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