ナナオ 13
バスを降りて、佐久間の待つマンションの前に立ったのは、まだ日も暮れきっていない夕方のことでした。赤紫の美しい空色には適度に雲が
結果だけを言うと、ボクは佐久間を受け止めることが出来ました。空から落ちてきた、愛する人は確かに両腕に収まり、肉が弾け、骨が折れていく感触を鮮明に伝え、二本の腕を叩き折って、地面へ鮮やかに飛び散りました。人間としてはおろか、静物でも滅多に見ないような、凄まじい姿に成り果てた佐久間は、ボクの全身に体温を浴びせて事切れました。衝撃のあまり両足もろくに動かず、その場に尻餅をついたまま、ボクは佐久間の名前を一度だけ呼びました。返事はなく、恐らくはその光景を見たのであろうどこかの住人が、あちこちから近付いてくるのが見えました。
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