第10話 納屋

頭ががんがんと痛む。


わずかに薄目を開けて上体を起こすと、どこかの納屋に座っていることがわかった。

その壁の隙間からは、すっかり夜になった気配が感じとれる。


俺はあまりよく状況がつかめないまま立ち上がろうとして、後ろからの強い抵抗でよろめいた。

身をよじって確認すると、両手が柱に紐でくくりつけられていた。


(あの時……)


やったのは長老の息子だろう。

きっと今夜、俺が邪魔になると予想してあらかじめ動きを封じておきたかったのかもしれない。

やはり頭の切れる男だと思った。


今は一早くここを出なければいけない。

そう考えてあらん限りの力を振り絞って両手をねじった。

縄がきつく手首に食い込んで、縄が切れる前に手首が引きちぎれてしまいそうな勢いだった。


(それでもいい)


俺は歯を食いしばり、休む暇なく両手を引っ張り続けた。

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