第9話 根


「うちのコンがいきなりごめんなさい」


 根元ピンクの白髪が、ペコリと頭を下げた。まるで紺色の飼い主のような態度だったから、少年は笑いそうになったのを堪えた。


 この根元ピンクの白髪の色が、白桃っぽいのでハクトと呼ばれているらしかった。


 自分のオートの由来とソックリだと思う前に、性別が男性だという方に少年は驚いた。


 根元ピンクの白髪と紺色は『魔物』と呼ばれる存在に魔物にされてしまった人間で、女の子三人は魔法少女だと言った。


 魔法の国の裏世界とかいう、聞いたこともない場所から沸いた『魔物』という存在を狩っているらしい。妙な趣味だな、とオートは思った。


「その子は魔物じゃないの?」


 ハクトという根元ピンクの白髪が、一二三を指して言った。


「こいつは魔獣だ。魔物とかいうんじゃない」


 ハクトいう根元ピンクの白髪と、魔法少女三人が呆れた表情になったのは、彼らの指す魔物は魔獣と同じ意味を持っていたせいだ。ならそう言え、とオートは悪態をつきそうになった。


「……なんで魔獣なのに、襲ってこないの?」


 水色の魔法少女が口を開いた。それは誰よりも自分自身が知りたかったものなので、少年は首をひねるしか出来なかった。


「あんたは何者なの?」


 ピンク色の魔法少女が、オートに訝し気な目を向けた。なんとなくノイリに睨まれたようで、落ち着かない少年が居た。


「ただの魔獣だ……」


「ということはコンくんハクトくんみたく、中央くんも魔獣にされちゃったってことかな……」


 オレンジ色の魔法少女が神妙な顔をしたが、それよりも中央というのが誰を指しているのかオートは分からなかった。


「なかお?」


「あんたのことよ!」


 ピンク色の魔法少女が突っ込みを入れたが、オートは全く意味不明の状態だった。


「ねぇ、ココに来る前の記憶ある?」


 ハクトとかいう根元ピンク白髪の問いに、オートは首を左右に振った。


 おそらく彼の指すココというのは、次元と見て間違いない。ちょっと前から少年は、次元で生まれたようなものだ、と割り切ってさえ居たのだ。


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