第67話 ホテルで同じ部屋ってマジ??
「よ、よく寝てたね」
「うぅ……恥ずかしいぃぃ」
電車に揺られること30分。
俺達はホテルの最寄り駅に到着した。
今は人混みが多いので、少し離れたベンチに座って人混みが少なくなるのを待っているところだ。
「うー……ねぇ泉お願い! さっきのこと記憶から抹消して!!」
「あはは……それはちょっと難しいかなぁ」
「うぎぃぃぃぃ!!」
俺の横にいる灯は両手で顔を隠しながら悶える。
耳は恥ずかしさからか、少し赤くなっていた。
「ま、まぁ別に気にしてないよ」
「いや、あれはない! 普通にごめん!!」
灯は顔を真っ赤にして俺に強く言う。
ま、まぁあれは衝撃的だったからなぁ。
「1回目の寝過ぎて泉の膝に頭を乗せたのはまぁ……恥ずかしいけどまだ大丈夫なの!! でも、問題はその後!!!」
そうなのだ。 灯は寝てから少しすると、体の力が抜けてきたのかコテッと肩に乗せていた頭が重力によって落ち、スポッと俺の膝の上に頭を乗せたのだ。
まさかの膝枕。
これには俺もびっくりして体をビクッと震わせてしまった。
しかし、その後俺はもっと体を震わせることになる。
それはなぜかと言うとーーーーーーーー
「うぅ……ごめんね痛かったよね?? ほんっっっとうにごめんね!!」
ーーーーーーーー灯が頭を元に戻そうとし、手を使って起きあがろうとした時、その手がちょうど俺の股間の上にきてしまったのだ。
きっと寝ぼけていたのと慌てたのが理由でそうなったのだろう。
灯は急いで起きあがろうとし、置いた手に一気に力を入れた。
でも手を置いている場所は俺の股間の上。
デリケートなところに一気に力を入れるとどうなるかというと、まぁ……想像したくない痛みが走る。
結果、俺は股間を押さえて頭を伏せて震え、灯は触ってしまったこと、俺の痛みを想像して顔を赤くしたり青くしたりして大慌てだった。
周りの人達も目を背けたり、合掌をしていた。
これが俺たちの電車の中であった出来事だ。
……いやー、なんか久しぶりに灯が残念美少女って言われてる所以を体験できたような気がするよ。
もうこんな体験はしたくないけど……。
「まあ次からは気をつけようってことで」
「でもでもでも……!!」
「じゃあ、そんなに気になるならなんかコンビニで飲み物奢ってよ。 こっちきてからなんも飲んでなくて喉カラカラだからさ」
「そんなので良いの?」
「良いよ良いよ。 わざとじゃないし、次から気をつけてくれたら良いよ」
「ん、分かった。 でも本当にごめんね?」
俺達はそんなやりとりをしてから、ベンチから立ち上がる。
さっきまで多かった人混みは疎になっていた。
俺達はキャリーケースを動かしながら駅の中を歩く。
駅の中にある案内の看板を見てから数分後、俺達は駅を出ることができた。
外に出ると少しだけ空の色が黒くなり、街中の光が少し強くなる。
外は駅の中よりも寒くて、さっきコンビニで買ってもらった暖かいコーヒーがちょうど良いカイロ代わりになっていた。
「ここから歩くんだよね?」
「うん、そうだよ。 多分こっちの道だよ!」
灯はそう言って歩き始めた。
今回ホテルの予約を取ってくれたのは灯だ。
灯から離れないようにしないと!!
俺は灯について行く。
すると、少しして目的のホテルが見えて、中に入ることができた。
中に入ってチェックインをして、部屋に荷物を置いてちょっと観光をする。
それがこれからの予定だった。
しかし、灯が受付でチェックインをした時、事件が起こる。
それはーーーーーーーー
「えぇぇぇ!? 予約は一部屋!? ってことは一緒の部屋で一晩過ごすのぉぉ!?」
ーーーーーーーーまさかの部屋が一部屋しか予約が取れておらず、同じ部屋で一晩を過ごすになってしまったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます