第46話 夏休み終了
「お兄ちゃんー! そろそろ晩ご飯できるってさーー!」
「分かったー! ちょっとしたら降りるわー」
今日は夏休み最終日。
いつもなら晴が泣きながら宿題をするのを手伝っているんだけど、今回は計画的に進めたおかげで、泣きつかれることはなかった。
それに少しの寂しさを感じるけど、来年俺達は受験生。
少しずつ大人になるのだから、これは成長する為には必要なことなんだろうな。
そう思っても、毎年していた恒例行事がなくなるのはやっぱり少し寂しい。
大変だったけど、あの間に合うか間に合わないかのギリギリ感、合宿みたいなわちゃわちゃ感が楽しかったなぁ……。
俺から提案したのに寂しがるなんて……ちょっと気持ち悪いな。
俺は自虐的に笑う。
そして、ベットから勢いよく起き上がって、晩御飯を食べる為に1階に降りようとした。
そんな時、俺のスマホに1つのメッセージが届く。
なんだろう?と思いながら、俺はスマホを開いた。
メッセージを送ってきたのは灯。
明日からの学校が面倒くさいという、世間話メッセージだった。
「……ははっ。 なにそのスタンプ」
俺はメッセージの次に送られてきたスタンプを見て、思わず笑いが出てしまう。
なんだよそのスタンプ。
なんで可愛らしい熊の目が病んでいるスタンプなんて送ってくるんだよ。
どこで手に入れたの、それ?
「とりあえず、明日は始業式と少しの授業だけだから、いつもよりは楽な筈だよって連絡しよ」
俺は慣れた手つきでフリック入力していく。
あの夏休みの日から会うことはできていないけど、毎日灯とは連絡を取ることができている。
まさか2回も告白が失敗するとは思っていなかったけど、まだチャンスはある筈だ。
俺の理想では11月中旬にあるライブか、クリスマスイブまでには告白をして、恋人関係になりたい。
俺たちが高校3年生になるまで後、約半年。
3年生になれば、進学するなり就職活動をするなりで、恋人として過ごせる時間は他に比べて少なくなってくると思う。
その前に、早く告白して恋人関係になりたいな。
あ、でも、告白して振られたらどうしよう?
あの感じだと振られないとは思うんだけど、俺の思い違いという可能性もある。
……………いや、もし振られたとしても諦めたくないし、諦めきれないか。
振られたら、その時はその時だ。
1回振られたぐらいで、俺の灯に対する恋心は消えない。
「ま、どうなるかは分からないけど、2学期はもっとアピールしていかないとな」
俺はそんなことを思いながら、灯とメッセージのやりとりをする。
やりとりに夢中になりすぎて、都が怒鳴り込んでくるのはそう時間がかからなかった。
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