第37話 プール①
夏といえばみんなはなにを想像するだろうか?
甲子園で球児達が白球を追いかける姿を想像するだろうか?
それとも、かき氷や素麺といった食べ物を想像する人もいるかもしれない。
ちなみに俺は海やプール、祭りといった遊び関係のものを想像する。
今年もプールか海に友達と行って、同年代の女の子の水着姿を見たいな。
そんな思春期なら気になる、でも人には恥ずかしくて言えないような思いを、俺は漠然と持っていた。
しかし、今俺の目の前に現れた灯を見ると、そんな思いはどっかにふっ飛んでいた。
不特定多数の女の子の水着姿?
確かにそれは良いものだ。
でも、やっぱり好きな人の水着姿が1番魅力的だ。
俺、嬉しさや気恥ずかしさで灯を直視できないけど、気持ちはとても満たされている。
あぁ……灯と2人っきりでプールに来ることができてよかった。
「な、なんで泉は上をずっと向いてるの?? そ、そんなに私の水着、変かな……?」
「変じゃない! 変なわけないだろ!! むしろ似合い過ぎて直視できないだけだから!!!」
「へぅ!? そ、そうだったの!? な、なら嬉しいなぁ……へへっ」
「〜〜〜ッッ! アイッ!!」
「どうしたの泉!? いきなりしゃがみ込んで、顔を手で覆って震え出したけど!! さ、寒いの!?」
灯は心配そうに俺の方に近づいてきて、背中を優しく摩ってくれる。
水色とオレンジが爽やかで、常夏の夏を連想することができるような素敵なビキニタイプの水着を身に纏っている灯は、言葉にならないぐらい可愛いかった。
「ちょっと待ってちょっと待って。 可愛すぎて直視できないんだけど心臓もたないんだけど。 灯は天使かな? いや、天使に違いないそうに違いない。 だってこんなに可愛いんだもん。 あぁ〜〜〜やばいやばい。 語彙力低下するぐらいヤバい」
「ね、ねぇ本当に大丈夫? さっきからぶつぶつなにか独り言言ってるけど……辛いなら、今日は帰ろ」
灯が心配そうな表情を浮かべながら、ゆっくり諭すように優しく話しかけてきてくれる。
そんな灯の姿を見て申し訳ない気持ちが出てきたけど、近づいてきた胸の谷間が目に入ると、申し訳ない気持ちは一瞬で飛び、その魅力的な形に目が奪われそうになった。
「大丈夫大丈夫。 元気だし、ちょっとずついつもの調子が出てきたから遊べるよ」
「ほ、本当?」
「本当本当! 今日は帰ったらすぐ爆睡できるぐらい遊ぼうぜ!!」
俺は立ち上がって自分ができる目一杯の笑顔を浮かべる。
それを見た灯は少し胸を撫で下ろした後、ホッとしたように笑ったのだった。
「灯はここのプールきたことあるの?」
「ないなぁー。 ここのプールじゃなくて、○○プールに行くことが多いかな?」
「へぇー。 逆に俺は○○プールに行くことの方が少ないわ」
今いる□□プールはここ数年でできた、比較的新しいプールだ。
大きな流れるプールから、グネグネしたウォータースライダー、他にもいっぱい遊べるところがあるから、こっちのプールに来ることが俺は多い。
ネックなのは、ここまで来るのに時間とお金が結構かかることだけど、それを補う楽しさがここにはあると俺は思っている。
「なら、□□プールについては泉の方が色々知ってるから先輩だねっ! 先輩っ! ここでの楽しい遊び方、私に教えてくださいよ!」
灯は腰に手を置いて、クルッと身体を俺の方に向ける。
白い歯をキラッと出しながら楽しそうに笑う灯は、向日葵のような元気が出る笑顔を浮かべていた。
俺はそんな灯に対して胸を張り、任せておいて!と元気よく言ったのだった。
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10.000PV達成しました!
これも読者の皆様のおかげです!
ありがとうございます!
10.000PV達成記念ということで、毎日更新を3月17日(水)まで伸ばすことにしたので、よろしくお願いします。
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