第24話 女友達の家に行こう! ①

「2人ともあがってあがって」


「お邪魔しまーす!」


「お邪魔しまーす……」


 ある休日。 俺は片桐さんの家へと来ていた。


 10階建ぐらいのマンションにある片桐さんの家。


 一軒家に住んでいるから、マンションとかアパートに住んでみたいっていう憧れが少しある。


 だから、来た時はマンションの中をキョロキョロと見てしまった。


「母さん達リビングにいるからまずはリビング行こっか」


 家の中でもバッチリと決まっている私服姿の片桐さんが俺達に声を掛ける。


 俺は2人の後をついていき、リビングへと入った。


 中は大きなテレビに台所、L型の高級そうなソファーがあった。 真ん中にはガラス張りの高そうな机が置かれている。


 部屋の端にある観葉植物が良い味を出していた。


 …………なんだかテレビとかで紹介されても全然違和感を感じないぐらい、素敵なリビングだな。


 俺も将来こんなリビングがある家に住んでみたい。


「母さん、父さん。 高山とあかりん連れてきたよ」


 そんなことを思っていると、ソファーに座ってテレビを見ている大人2人に片桐さんが声を掛けた。


「あら、こんにちはぁ」


「おー2人ともよく来たなぁ」


 片桐さんのお母さんは顔立ちが整っている美人さん。 目元や顔の輪郭が片桐さんにそっくりだ。


 でも、雰囲気が全然違う。


 片桐さんはギャル系で明るい雰囲気だけど、お母さんはおっとりしていて、のほほんとした雰囲気を纏っていた。


 雰囲気は全然違うな。


 お父さんは顎髭を蓄えてスッキリとした顔立ちをしているダンディな感じの男性だ。


 さっきの一言だけで低くて良い声をしていることが分かる。


 このダンディな感じと、声だけで色気があるカッコいい男性であることが分かった。


 ……美形親子の間に生まれた片桐さんも美形だ。 この家族、顔面偏差値高いな。


「こんにちはおばさん、おじさん。 これいつものお菓子」


「あらありがとね灯ちゃん」


「恵さんにもよろしく伝えておいてくれ」


「はい!」


 灯はどうやらお二人とは面識があるみたいだ。


 見た感じ結構な付き合いの長さを感じる。


 恵さんってのは、もしかすると灯のお母さんの名前なのかもしれないな。


 ってことは、家族ぐるみの付き合いがあるのかな?


「こんにちは。 初めまして! 高山泉です! 今日はご招待頂きありがとうございます!! これ、つまらないものですが……」


 俺は来る途中に買った菓子折りを渡した。


「あらあらこれはご丁寧にありがとねぇ」


「こちらこそわざわざ時間を作って来てもらって悪いね」


「い、いえ!!」


「せっかくだし、灯ちゃんと泉くんに貰ったお菓子出すわね。 ちょっと待ってて〜」


 片桐さんのお母さんはそう言って台所の方へと向かう。 少しすると紅茶の良い香りと一緒にお皿に盛られたお菓子が出てきた。


 おぉ……お皿に高級感があるとお菓子もなんだか映えてていいな。


「じゃあ、まずは自己紹介するわね。 私は奈々の母、片桐理沙かたぎりりさです。 よろしくね?」


「俺は片桐大河かたぎりたいがだ。 よろしく」


「よろしくお願いします!」


 俺は失礼がないように挨拶をした。 大人の人とかんな感じで関わることなんて滅多にないから、無茶苦茶緊張する。 脇汗かきそうだ。


「今回は奈々の勉強を見てくれたらしいね。 本当にありがとう!」


「ちょっとやめてよ父さん」


「私からもお礼を言わせてちょうだいね。 ありがとう。 この子なかなか勉強しないから、泉くんのおかげで今回は助かったわ」


「もうっ! 母さんまで恥ずかしいことやめてよ!」


 片桐さんは嫌そうな顔をしながら2人に文句を言う。


 確かに同級生がいる前でこんな話をされるのは、片桐さんにとって嫌かもしれないな。


「この娘要領はいいんだけどどうにもやる気がねぇ……」


「できる娘ではあるんだけどなぁ……」


「な、なによ!」


 2人の視線を浴びて片桐さんがたじろぐ。


「「はぁ……」」


「そのため息はなに!?」


 理沙さんと大河さんのため息を聞いて、片桐さんが怒りながら立ち上がる。


 なんだかいつも飄々としている片桐さんからは想像できないぐらい感情出してるな。


 やっぱり親の前に出ると子どもはこんな感じになるのかな。


 ……ってか、灯は特に気にしてる様子もなくお菓子を食べてるな。


 よく見る光景なのかな?


 そんなことを思っていると、片桐さんが理沙さん達に話を切り出した。


「ってかさ、母さん達お礼言い終わったんなら、うちら部屋に行っていい?」


「いや、ちょっと待って。 私達、泉くんにお願いしたいことがあるのよ」


「俺にですか?」


 え、なんだ一体。


「俺にできることなら頑張りますけど……」


 俺がそう言うと、大河さんはそんな身構えないで聞いてくれと言う。


 しかし、大河さんの発言を聞いて俺は驚いてしまった。













「奈々の勉強を出来ればこれからも時々見てあげてくれないか? 後、奈々の恋人になるのはどうだろうか?」

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