第14話 ライブデート②
「さいっっっこうだったねライブ!!」
「まじ最高だったわ! テンション爆上がりっしょ!!」
約3時間のライブは最初から最後までフルスロットルで行われ、お客さんを大いに湧かした。
俺たちも全力でサイリウムを動かし、声を張りあげた。
周りの人たちも同じようなことをしていて、みんな楽しそうな素敵な笑顔を浮かべていた。
あの3時間は別世界のように感じて、今も余韻に浸っている。
「あぁ……やばい。 語彙力元々ないけど、更になくなるぐらいやばい」
「分かる。 色んな感情があるのに、上手く言葉にできないんだよな」
「それそれ!」
俺たちはライブ会場から少し離れた場所にあるベンチで休憩をとる。
空は暗くなってきていた。
「高山君。 今日誘ってくれてありがとう! 高山君のおかけでこんなに楽しくて、感動できるものがあるんだって知ることができたよ!!」
「こちらこそ最高な時間を一緒に過ごしてくれてありがとう。 幸せな一時だったよ!」
「次またライブあったら一緒に行こうよ! それまでに私も色々勉強するからさ!」
永吉さんの言葉を聞いて、俺は内心でガッツポーズをとる。
好きな人が俺の好きなことにハマってくれた。
そして、次また行こうと言ってくれている。
それはとても嬉しいことで、同じ趣味を持てたことに心の底からやった!という気持ちになった。
「これはななちんにも楽しかったこと報告しないといけないね〜」
「そうだな」
「ななちん絶対羨ましがるだろうなぁ。 そしたら、次はななちんも入れて3人でライブに行っちゃう?」
永吉さんは前屈みになって、ニシシッと白い歯を見せて悪戯っぽく笑った。
……普段の俺ならそれもいいなって言って、永吉さんと笑い合っていただろう。
でも、今の俺は欲が出ているのかな? 次のライブも永吉さんと2人っきりで行きたいと思ってしまう。
そう思うと、色々な欲が湧きでてきた。
永吉さんと恋人関係になりたい。
一緒に登下校をしたい。
プールやお祭りに行ってみたい。
考えれば考えるほど欲は大きくなってきて、気持ちも高まる。
さっきまで別世界にいたような感覚が残っていることもあり、俺の思いは増長していた。
「俺は、次のライブも永吉さんと2人で行きたい」
「えっ……」
「もっと永吉さんと2人で色々なところに行ってみたいんだ」
「高山君……」
永吉さんの目は驚きからか見開かれていて、俺のことをジッと見ている。
俺たちの間に沈黙が流れる。
俺はここが告白チャンスで、逃したらいけないと思ったから、自分の気持ちを言葉に出したのだった。
「俺、永吉さんのことが—————————」
「あれ? いずみん、こんなところで何してるの?」
しかし、俺の一世一代の告白はある少女の声によって遮られた。
俺と永吉さんは驚き、声がした方を見る。
そこにはカバンを背負ってこちらを見ている都の親友、
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