第4話 初体験
玄関の横には除雪道具やお父さんの漁の道具が入った大きな物置があるのですが、僕は防寒着をきて、その中に入ると、少しドアを開けておばさんが帰ってくるのを待ちました。玄関の照明はつけてあったので積もった白い雪が、光を反射して、それはそれはきれいでした。
寒かったです、でも我慢して待ちました。
すると10時ころタクシーが門の前に着き、酔ってフラフラのおばさんが入ってきました。
玄関の前までくると鍵をポケットから取り出す音が聴こえてきたので、僕はこっそり、物置から出て、背後に忍びよると、持っていた包丁でおばさんの首を切りつけました。
すると、真っ赤な血が吹き出ました。
おばさんは何が起きたのかわからない表情で一瞬振り返りましたので、僕はおばさんの横に回り込み、力いっぱい押し付けると、おばさんの身体は玄関の横の庭まで飛ばされました。
そして、1メートルくらい積もった雪の中に倒れ込み、半身埋まってしまいました。
随分と酔っ払っていたので声すら出せなかったようです。
おばさんが苦悶の表情で息を引き取りましたが何も感じませんでした。
だけどその時、僕を今でも惹きつけてやまないのが、吹き出している真っ赤な血が真っ白な雪の上でどんどん広がっていく様子です。
玄関の白い照明がそれを照らして、それは、それは、綺麗だったんです。
赤い色が芸術的に白い雪を染めていくんです。
うっとりして見とれていました。
──そして、ゾクゾクしました。
でもこのままじゃいけないので、僕は計画どおり、おばさんに雪をかけて隠しました。
やがて、雪も降り出したのでもう安心です。
僕は、その後残っているお金で筋肉を鍛える器具と、プロテインなんかを、インターネットでたくさん買い揃え、家で身体を鍛えました。
だって、雪どけが始まったら、おばさんの死体を物置きに隠さないといけないですから…
肉体を鍛えている時も、真っ白な雪の上に広がる真っ赤な血の美しさが消えませんでした。そのたびにゾクゾクしました。
冬中、身体ばかり鍛えていると僕はかなりの力持ちになりました。その間も普通に学校には通いました。死体のある家にはあまりいたくなかったからです。やっぱり気持ち悪かったです。
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