第10話:星の魔女について

 ウスイから再び聖地エルダートへ向かうオレ達は、新たに出来た目的である、星の魔女を探すため、情報を集めることにした。


 以前のコルフラワーの件、あれはやはり彼女が関わっているはず。そう思い、まずはアリスに顔見せした後で、もう一度あの場所に向かうことにしたのだ。



「アリス! 来たよ!」

「いらっしゃい、二人とも。待ってたわよ」


 エルダートに着くと、アリスが迎えてくれた。彼女以外にも、無事回復したのか他のエルフ達も歓迎してくれた。


 すると一人、威厳のありそうな老婆がやってきた。


「初めましてじゃな、ワシは村長のエニアラという。よろしくの、お二方」

「あ、はい。リニスといいます。よろしくです!」

「オレはシオンです。よろしくお願いします」


 オレ達が挨拶をすると、村長は突然頭を下げた。


「まずは此度の件、礼をせねばならんのう。ワシらを救ってくれたこと、感謝する」

「い、いえ! そんな! それに一番頑張ったのはアリスですよ。お礼なら彼女に言ってやってください」

「そうですよ、オレ達はあくまで少し手伝っただけなので」

「ほっほっほ、それでも言わせてもらう。本当にありがとう」


 村長がそう言うと、周りのエルフ達も頭を下げて感謝した。


「さて、それでこれから二人も入れての復帰祝いをするつもりなんだけど、いいわよね?」

「復帰祝い?」

「要するにパーティーね。美味しい料理、たくさん用意しているわよ」

「料理! シオン!」

「そうだな、参加させてもらおうか」

「やった!」

「決まりね。それじゃあこっちよ、ついてきて」


 アリスについて行き、パーティー会場へと向かう。だが村の少し奥の方へ行くと、その先はただ森しか見えない。


「あれ、ここなの? 何もないけど」

「フフッ、そんなわけないでしょ。ほら、この魔方陣に乗って」


 地面に描かれている魔方陣があることに気付いて、言われた通りに乗ると、まばゆい光が放たれ、オレ達がどこか別の場所へ飛んでいることが分かった。


 思わず目を瞑っていたのだが、光が無くなってから目を開けると、そこでは蒼花あおはなホタルによる蒼の光祭ブルーパレードが起きていた。しかもまだ時間的には昼間だったはずが、今はすっかり暗くなっていて、空には星がたくさん見え、その星をさらに引き立てるように、蒼花あおはなホタルが宙を舞っていた。


 周りは森に囲まれているが、この周辺だけは開けた場所になっており、蒼と星の光が照らしている。


「……………すごい」

「ああ、なんて綺麗な場所」

「フフッ、感動してくれたみたいね」


 オレ達がこの光景に圧倒されていると、アリスが嬉しそうに笑った。


「聖域と言われてるわ。由来はまあ、言わずもがなよね」

「……ああ、納得のいく名前と理由だよ」


 まさしくと言ったところだろう。オレ達はしばらくこの景色を堪能していた。


「さ、そろそろ始めるみたいだから、行きましょう」


 再びアリスについて行き、みんなが待っている会場へと進む。


 いくつものテーブルが用意されていて、その上にはたくさんの料理が並んでいる。どれも美味しそうだ。


「こほん。え~、ではこれより、復帰祝いのパーティーを行う。まずはみな、よくぞ灰病を乗り切った。そしてみなのために尽力してくれた、アリス、シオン、リニスには改めて感謝する」


 村長はみんなの顔を見渡してから、最後に乾杯の音頭を取る。


「では、みなの復帰を祝して………かんぱいじゃ!」

「「「「かんぱーい!!」」」」


 みんな一斉に泡ビールを飲んでいく。オレとリニスは未成年なのでまだ飲めないが。


「っぷはぁ~! 美味しい!」

「……ジジくさいな、リニス」

「ぶ~! いいじゃない、今日くらい」

「お前は割といつものことだけどな」

「あ~! 言ったな~!」

「あはは、二人は本当に仲がいいわね」

「えへへ、そりゃあね! ラブラブですから!」

「あらあら、そうなの? いいわねぇ若いのって……。うちなんかもう……」


 アリス以外にも次々と色んな人たちが集まっては、色んな話をしていく。みんなしばらくおとなしくしていたせいなのか、やたらと元気が有り余っているようだった。




 しばらくパーティーは続き、たくさん料理も会話も楽しんだ後、酔いつぶれた人が出始めたあたりでお開きとなった。


 オレとリニス、アリスの三人はしばらくこの聖域で休んでいた。


「ふぅ~……。食べた食べた~。美味しかったなぁ」

「そうだな。特にキノコ料理は絶品だった」

「でしょう? エルフの里の自信作なのよ」

「そうなんだ~。また食べたいなぁ」

「いつでも来てくれていいわよ。みんなも歓迎するし」

「はは、そうさせてもらうかな。…………それはそうと、アリス」

「うん? 何かしら」

「明日、できればこないだ行ったコルフラワーの咲いた場所に行きたいんだけど、良かったら付いてきてくれるか?」

「こないだの? いいけど、どうしてまた?」


 疑問に思うアリスに、オレ達はウスイで決めたことを話した。


「なるほどね、それでその場所に、星の魔女が関わっているかもしれない、と」

「ああ、だから確認しに行きたいんだけど」

「わかったわ、私も付いてく」

「ありがとう」

「じゃあそうと決まれば、今日は速めに休もうよ。私もう結構眠いかも……ふぁ~っ」

「そうね、戻りましょうか」


 そうしてオレ達は前回泊まった宿へと戻り、体を休めるのだった。

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