第69話 現実:医学-医療-感染症 「国民病」
★国民病:
それは国民の多くが罹る事で、人口が減ったり生産力が下がったりするなどの国政に大きな影響を及ぼす病気の事。
また、ただ単に国民の多くが罹患している疾病、といった意味の表現でもある。
国民病と呼ばれる病気や症状の多くは、その国の国民における患者の割合が目立って多く、自身が罹患するリスクも高いといった性質を持ち、社会環境や食文化などに少なからず要因がある場合も多い。
現代日本においては、比較的軽症な肩こり・腰痛・花粉症・歯周病なども国民病と見なされているが、他にも重症のうつ病・糖尿病・腎臓病・癌_がんなどが国民病と形容されることが多く、戦前の日本では結核が国民病だったが、戦後すぐの日本においては寄生虫も(直接的な病気ではないものの)結核などの感染症と並び国民病の一つとされていた。
現在、一部でネット・ゲーム依存症も叫ばれているが、かつては一晩中電話を掛ける女性達や一晩中酒場で騒ぐ中高年がいたが、それはどうなのだろうか?
また解消法がある程度確立しているとは言え、個人的には水虫や近眼も含まれるのではないかと思ったが……一応アレらは不治の病の範疇か?
なお異世界でハゲの治療には、毛根に対し蘇生薬や蘇生魔法が必要らしい。
▼肩こり・腰痛:
主な原因として考えられているのは二つ。
一つが、悪い姿勢や同じ姿勢を続けていると特定の場所に負担がかかり、たとえその負担が軽度でも、長時間持続すると筋肉の緊張が偏って起こり、それによって肩こり・腰痛につながります。
もう一つが、運動不足などによって、筋力が低下する事で疲労物質が溜まりやすくなるため、肩こり・腰痛になりやすくなると考えられています。
なお、世界の人々も何かしらの要因によって肩こりが生じる範囲の筋肉の緊張状態は起こり得ますが、海外では「肩がこる」という概念がないため、日本人の言う状態がうまく伝わりません。
▼花粉症:
花粉が鼻の粘膜や目の結膜を刺激することによってアレルギー反応が起こり、鼻水や涙が止まらなくなる疾患。
つまり花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)の代表的な症状としてあらわれるのが鼻水・鼻づまり・くしゃみなどの3大症状で、それに加え目のかゆみ等も含まれます。
また花粉症の原因となる花粉は、スギ花粉・ヒノキ花粉・ブタクサ花粉をはじめ1年中飛散していますが、花粉症の約70%はスギ花粉症と推察されていて、戦後国を挙げてスギの植林を進めてきたことが原因で発生しました。
なお、季節に関係のない鼻炎は「通年性アレルギー性鼻炎」であり、ホコリ等が原因です。
▼歯周病:
歯周病とは、歯と歯ぐきの間に繁殖する細菌に感染し、歯の周りに炎症が起こる病気です。
現在、成人の80%以上の方がかかっていると言われている。
炎症が歯ぐきに限定されているときは歯肉炎、それ以上に進行すると歯周炎(歯槽膿漏)と呼ばれます。
▼うつ病:
うつ病は、気分が強く落ち込み憂うつになる、やる気が出ないなどの精神的な症状のほか・眠れない・疲れやすい・体がだるいといった身体的な症状が現れることのある病気で、気分障害の一つです。
▼糖尿病:
インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気です。
インスリンは膵臓から出るホルモンであり、血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています。
▼腎臓病:
腎臓病は、腎臓の糸球体や尿細管が冒されることで、腎臓の働きが悪くなる病気です。
▼癌・がん:
がんは日本において昭和56年より死因の第1位となり、現在では年間36万人以上の国民ががんで死亡し、これは3人に1人が"がん"によって亡くなっている事になり、日本人にとっての「国民病」と言って過言ではない状況となっています。
なお、米国では肥満や生活習慣病などが国民病と見なされている。
一般に「癌(がん)」という語は「悪性腫瘍」と同義として用いられることが多く、「悪性腫瘍」と「がん」とは明確に区別する必要が無く、一般的には同一語として用いている。
また「悪性新生物(あくせいしんせいぶつ)」とも呼ばれる。
ただし専門用語では平仮名の「がん」と漢字の「癌」は同意ではない。
病理学的には漢字で「癌」というと悪性腫瘍のなかでも特に上皮由来の「癌腫(上皮腫、carcinoma)」のことを指し、平仮名の「がん」は、「癌」や「肉腫」(sarcoma)、白血病などの血液悪性腫瘍も含めた広義的な意味で悪性腫瘍を表す言葉として使われているからである。
なお、「悪性腫瘍」とは腫瘍の中でも特に浸潤性を有し、増殖・転移するなど悪性を示すものの事であり、これは遺伝子変異によって自律的で制御されない増殖を行うようになった細胞集団(腫瘍)のなかで周囲の組織に浸潤し、または転移を起こす腫瘍なのである。
悪性腫瘍のほとんどは無治療のままだと全身に転移して患者を死に至らしめるとされる。
なぜなら細胞は、正常な状態では細胞数をほぼ一定に保つため、分裂・増殖しすぎないような制御機構が働いているのだが、それに対して腫瘍は生体の細胞の遺伝子に異常がおきて、正常なコントロールを受け付けなくなり自律的に増殖するようになったものであるからだ。
▼結核:
結核菌は1882年にロベルト・コッホによって発見された、マイコバクテリウム属の細菌、主に結核菌により引き起こされる感染症。
日本では、明治初期まで肺結核は労咳(癆痎、ろうがい)と呼ばれ、現在でも多くの人が罹患する病気であり、好発部位は主に肺であるが全身の臓器・器官にも感染し、顕著な症状を呈している部位名の前後に「結核」を付け加えるなどした呼び方により細分化される。
感染様式は結核菌を含む飛沫核の吸入による空気感染で、結核患者からの咳・くしゃみ・唾より感染する。
世界人口の3分の1が結核菌に感染しており、毎秒の単位で感染患者が発生するHIVの次に死者の多い感染症であり、2013年に発症した900万人の患者の内、死亡した150万人の95%以上は低中所得国で15 - 44歳女性の死因トップ5に入る。
また抗菌剤が効かない多剤耐性肺結核 (MDR-TB) や「超多剤耐性」(XDR) の薬剤耐性が問題となっている。
江戸時代には、黒猫を飼うと(結核労咳)が治るという迷信があるとされ、新選組の沖田総司などは労咳を患って床に伏せっていた際この迷信を信じて黒い猫を飼っていたが改善するはずもなく、死の間際に斬り殺そうとしたが果たせなかったといわれる。
「猫が、猫が……」
▼寄生虫:食生活の変化と日本人の寄生虫保有率
寄生虫を体外に排出するために、昔から駆虫薬としてセンダンが虫下しとして投与利用されてきた。
昭和20年代の全国民の保卵率は70-80%と推定されていたが、戦後の混乱から脱しつつある1956年に富山市が市職員に対して行った検査でも45%の高率となっていた。
だが、近現代におけるヒトの食生活の著しい変化により、従来ヒトの生活に近かった寄生虫の感染例は減少傾向にある。
例えば人糞の農作利用によって媒介されていたカイチュウの感染例は、化学肥料の普及によって大幅に減少した。
しかし動植物の生食が増えることによって、従来はあまり見られなかった新たな寄生虫の症例も増加して来ているという。
●正の効用:
寄生虫は人間にとって正の効用を持つ可能性もあるが、一般には病原体であり、安易な使用は危険である。
藤田紘一郎博士の研究によれば、サナダムシを始めとする寄生虫の一部はアレルギー反応を抑制する成分を分泌しており、副作用の問題などから実用化には至っていないものの、ヒトのアレルギー症状を抑える特効薬として期待されている。
また上記サナダムシの効用のみを以って、有害な寄生虫の付いた農産物に危険性が無いとか、寄生虫やその虫卵の全般に危険性が無い、などと主張する愚かな論者も見られ、かつてサナダムシの幼虫を呑み込むことで減量する「サナダムシ・ダイエット」が話題になったことがあったが、囊虫が脳に寄生した場合には脳を圧迫して神経囊虫症という痙攣発作や麻痺、意識障害といった重い症状が現れ、最悪死に至ることもある。
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